タイトル |
過熱水蒸気の利用によるあんぽ柿の日持ち向上 |
担当機関 |
鳥取産技セ |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
松本通夫
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発行年度 |
2007 |
要約 |
あんぽ柿は過熱水蒸気で表面殺菌することにより、日持ちが20℃では2~3日間延長され約1週間となる。過熱水蒸気処理の有無にかかわらず、10℃では5~6週間の日持ちが可能であり、低温貯蔵による日持ちの効果が著しい。
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キーワード |
あんぽ柿、過熱水蒸気、殺菌効果、微生物、低温貯蔵、袋内二酸化炭素量
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背景・ねらい |
鳥取県で生産されるあんぽ柿の一部は、軟らかくて美味しいものの、水分は50~54%で、水分活性は0.93~0.88程度であり、カビだけでなく、一部の細菌や酵母も生育が可能であり、脱酸素剤を封入しているものの日持ちが十分ではない。このあんぽ柿について、過熱水蒸気処理によりあんぽ柿の表面殺菌を行い、日持ちの向上を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 230℃で3分間以上の過熱水蒸気処理ではあんぽ柿の表面に焦げの生じることを確認しており、焦げの生じない範囲において、過熱水蒸気処理の温度が高く、時間が長いほど、あんぽ柿の生菌数、真菌数、及び大腸菌群数は著しく減少する(図1)。
- 過熱水蒸気処理の温度が高く、時間が長いほどあんぽ柿の重量は減少する。130℃、5分間の処理で1.2%、180℃、3分間の処理で2.3%、230℃、1分間の処理で約1.0%それぞれ減少し、歩留まりが低下する。
- あんぽ柿表面の殺菌を目的とした過熱水蒸気処理条件は、加熱による品質劣化等を考慮に入れると、概ね、130℃では5分間、180℃では3分間、230℃では1分間程度である。
- 過熱水蒸気処理されたあんぽ柿の貯蔵中の微生物(真菌数)は、対照に比べて著しく少なく、過熱水蒸気処理による殺菌効果を反映している(図2)。
- 過熱水蒸気処理したあんぽ柿貯蔵中の袋内二酸化炭素量は、対照に比べて著しく低く、微生物の活動による二酸化炭素の排出が少ない(図3)。このことからも、上記4と同様な殺菌効果が裏付けられる。また、貯蔵温度を20℃から10℃にすることによっても微生物の活動による二酸化炭素の排出を著しく抑制できる(図3)。
- あんぽ柿の日持ち期間は20℃の対照区で4~5日程度、180℃、3分間の過熱水蒸気区では約1週間である(図4)。10℃では、対照区、180℃で3分間の過熱水蒸気区とも約5~6週間であり、低温貯蔵の効果が著しい(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 家庭用電化製品であるS社製過熱水蒸気オーブンを用いて行ったものであり、実用的規模で実施するときには、処理条件についての検討が必要である。
- 過熱水蒸気処理したあんぽ柿は、結露しないように荒熱がとれてから、脱酸素剤とともに包装すること、かつ、これらの作業を衛生的に行う必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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