タイトル |
メタン発酵消化液で培養されたユーグレナの飼料化 |
担当機関 |
大阪農総研 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
安松谷恵子
笠井浩司
高井雄一郎
出雲章久
瀬山智博
藤谷泰裕
北川正幸(京都大学)
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発行年度 |
2007 |
要約 |
メタン発酵消化液にポリ硫酸第2鉄溶液と0.5%MP184(高分子凝集剤)溶液を加えて強く混合すると、容易に透明な処理液を分離できる。この処理液を用いてユーグレナが培養・増殖可能で、乾燥品を用いたヒナの成長試験の結果は良好である。
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キーワード |
メタン発酵消化液、ユーグレナ、飼料利用、ヒナ成長試験
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背景・ねらい |
メタン発酵処理の普及には、窒素、りんが濃縮された消化液(廃液)の処理が問題となっている。ユーグレナは窒素、りんを利用して増殖し、40%以上の粗タンパク質含量を持ち、細胞壁がないため高い消化吸収が期待できる高タンパク質飼料原料と考えられるが、光合成により増殖させるためには消化液中の懸濁物の除去が必要となる。そこで、消化液の処理方法と、処理済み消化液を用いたユーグレナの培養、および得られたユーグレナの飼料としての安全性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 廃棄麺による実験用メタン中温発酵プラントの消化液は、カチオン系凝集剤のポリ硫酸第2鉄を0.5%(体積比)と、0.5%濃度の高分子凝集剤MP184溶液を5%(体積比)加えて強く混合することで、消化液中の懸濁物を凝集・浮遊できる。また、浮遊物質を約5倍多く含む食品工場の実働メタン高温発酵プラントからの消化液であっても、凝集剤の混合比を検討すると処理が可能で、最適比はポリ鉄が1.5%、MP-184が15%、(ともに体積比)である。(図1)
- ユーグレナは消化液に順化可能で、600L規模で8ヶ月間連続培養しつつ、毎週5回合計70Lの処理済み消化液を添加しも増殖率は変わらない。また、毎週5回各60Lの培養液を取り出してユーグレナを分離・採取後、上清み液を戻して600Lにしても、ユーグレナは増殖して濃度は低下せず、継続的な採取が可能である。(図2)
- 卵用鶏雄ヒナを用いた成長試験において、体重とシャンク長に試験区間の有意差は認められない。体重は、ユーグレナおよび魚粉添加区が対照区を上回る傾向を示すことから、ヒナは、ユーグレナを魚粉と同様に利用可能である。(表1)
- 内臓重量とその体重比においても有意差は認められず(表1)、ヒナは正常に成長できる。血漿の生化学検査(グルコース、総タンパク質、尿酸、AST、ALT)も、有意差を認めない。また、ユーグレナの葉緑素が消化・吸収・代謝された結果、肝臓や腹腔脂肪の色は試験区のみがやや黄色味を帯びる。
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成果の活用面・留意点 |
- ヒナの成長試験は農林水産省畜産局長通知に準じて実施した。
- ユーグレナはpH3.5で良く増殖し、雑菌の発生を防止できる。
- パルス乾燥法を適用することで、低温(70℃)・低コストの乾燥が期待できる。
- 乾燥ユーグレナは青草臭を持ち、鶏の嗜好性が高い。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
乾燥
低コスト
鶏
メタン発酵消化液
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