キクのタバコガ類防除のための超簡易露地ネット被覆法

タイトル キクのタバコガ類防除のための超簡易露地ネット被覆法
担当機関 奈良農総セ
研究期間 2007~2007
研究担当者 国本佳範
小山裕三
発行年度 2007
要約 露地キク栽培で4mm目合いネット被覆によるタバコガ類防除において、逆U字型支柱パイプ間に高張力プラスチック線を展張し、さらに1本脚支柱でネットの下垂を防止する方法は、設置が極めて容易で、14万円/5a程度で設置できる。
キーワード タバコガ類、ネット被覆、キク、低コスト、高張力プラスチック線
背景・ねらい キクの露地栽培では、タバコガ類幼虫による被害が大きな問題である。主に殺虫剤散布により防除しているが、十分な効果を得られない生産者が多い。小規模な圃場でも利用可能で周辺環境やキクの開花に影響がないネット被覆による物理的防除が有望だが、設置コストの削減が栽培現場から望まれている。そこで、2006年度に開発した簡易ネット被覆法よりもさらに低コストで、より簡易に設置できる全く新しいネット被覆法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 新しいネット被覆法は簡易ネット被覆法とは全く異なる構造である。農業用鉄パイプ(径22mm)を湾曲させた逆U字型支柱(キュウリ用支柱)を圃場両端に向き合って設置する。この支柱間に高張力プラスチック線を展張する。さらに張力も持たせるために、支柱を外側に牽引し、螺旋杭に固定する。これを約5m間隔で格子状に設置する。ここにポリエチレン製4mm目合いのネット(防虫ネット)を被覆し、圃場周囲に敷設した直管パイプにパッカーで固定する(図1、2)。
  2. ネット被覆による高張力プラスチック線の下垂を防ぐために、長さ2mの直管パイプを垂直に立て、その上端に、底面に十字の溝を切ったペットボトル(500ml)を固定した簡易な1本脚支柱を圃場内部に10~15m間隔で設置する(図2)。
  3. ネットも含めた設置資材経費(5a)は136,970円となり、既開発の簡易ネット被覆法(187,320円)より約27%削減できる。1年当たりの費用は26,352円である(表1)。また、被害茎の10%軽減で1年で39,548円の黒字が見込める。
  4. 整地された圃場での設置に要する時間(5a)は546分×人で、簡易ネット被覆法(876分×人)よりも約38%短縮できる(表2)。
  5. キク栽培圃場でのタバコガ類に対する防除効果は簡易ネット被覆法と同等である(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. 人力で高張力プラスチック線に張力を持たせるには、逆U字型支柱間の距離は30m程度までが望ましい。
  2. 耐風強度は20m/s程度であり、雨を含む台風などの強風時および積雪時には必ずネットを除去する(46分×人)。
  3. ネット被覆・除去作業時には、あらかじめ高張力プラスチック線結束部をビニルテープ等で被覆してネットの破損を防ぐ。
  4. 逆U字型支柱設置は2名の作業者で行うと効率的である。また、ネット内部での薬剤散布や収穫作業の支障にならないように、高さ2m以上を確保する。
  5. 逆U字型支柱を外側に広げて保持することから、圃場周囲の通路はできるだけ広くとり、固定のための螺旋杭は畔などに設置する。
図表1 220454-1.jpg
図表2 220454-2.jpg
図表3 220454-3.jpg
カテゴリ 病害虫 きく きゅうり コスト 低コスト 防除 薬剤

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる