タイトル |
Pythium myriotylumによるナデシコ「テルスター」およびペチュニア立枯病(仮称)の発生 |
担当機関 |
大阪農総研 |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
岡田清嗣
瓜生恵理子(大阪中部農の普及課)
景山幸二(岐阜大学)
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発行年度 |
2007 |
要約 |
セル育苗および鉢上げ段階のナデシコ(「テルスター」Dianthus chinensis L.×D. barbatus L.)およびペチュニア(Petunia×hydrida Vilm.)幼苗において、高温期に地際部の茎や下葉に黄化や萎凋を伴う立枯れ症状の原因は、Pythium myriotylumによるものである。
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キーワード |
ナデシコ「テルスター」、ペチュニア、立枯病(仮称)、Pythium myriotylum
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背景・ねらい |
府内の花壇苗生産農家において、6月~9月の高温期に、ナデシコ「テルスター」およびペチュニアのセル苗およびポット育苗段階において、地際部の茎や下葉に、黄化、萎凋を伴った立枯れ症状が頻発したので、本症状の原因を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 本症状は、6月~9月の高温・多湿な栽培環境において、セル苗やポット育苗段階で発生する。はじめ地際部の茎や下葉が黄化し、萎凋を伴いながら軟化腐敗、枯死に至る(図1)。細根はあめ色に変色し、腐敗、脱落する。
- 罹病株からは、極めて生育の早い無隔壁の白色菌糸と卵胞子が観察される。分離菌株をそれぞれの分離源植物に接種すると病徴が再現され、病原菌が再分離される。分離菌株のrDNA-ITS領域の塩基配列解析を行うと、分離菌株はDDBJデータベースによるホモロジー検索により、P. myriotylum と99.6~100%の高い相同性を示す(表1)。
- 分離菌株はPDA培地上で10~40℃で生育し、適温は35℃である。造卵器は類球形、表面平滑、頂生し、大きさは平均直径30~31μm、造精器は勾玉状で造卵器に2~7個着生し、異菌糸性である。卵胞子は球形、非充満、帯黄色で、平均直径23.4~24.4μmである(図2、表2)。以上の特徴は、シュンギク立枯病菌(病原P. myriotylum)やPlaats-Niterinkに記載のあるPythium myriotylum Drechslerと酷似する。
- 以上のことから、分離菌株はP .myriotylumと同定され、ナデシコ「テルスター」およびペチュニア幼苗の立枯れ症状は同菌による新病害である。
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成果の活用面・留意点 |
- 本病は未報告であることから、それぞれナデシコ「テルスター」立枯病(英名damping-off)、ペチュニア立枯病(英名damping-off)を申請予定である。
- 本病に対する登録薬剤はないので、耕種的な栽培管理を徹底する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
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