タイトル |
アルカリ資材施用によるダイズ子実中カドミウム濃度低下技術 |
担当機関 |
鳥取農試 |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
宮田邦夫
稲坂恵美子
金川健祐
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発行年度 |
2007 |
要約 |
ダイズ子実中カドミウム濃度はアルカリ資材施用により顕著に低下する。アルカリ資材の施用で土壌pHを1高めることにより子実中カドミウム濃度は50~76%低下する。資材の施用効果を高めるには施用後の耕耘回数が重要であり、3回以上行う必要がある。
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キーワード |
カドミウム、ダイズ、子実、低下、pH、アルカリ資材
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背景・ねらい |
コーデックス委員会での農産物カドミウムに対する国際基準設定を受け、現在国内基準について検討されており、ダイズについても基準設定の方向で検討されている。 カドミウムリスクの高い地域において安全なダイズ生産を行うため、子実中カドミウム濃度を低下させる栽培技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 消石灰200kg/10a以上あるいは水酸化マグネシウム150kg/10a以上の施用で子実中カドミウム濃度は有意に低下し、資材の施用量が多いほど濃度は低下する(図1)。
- 子実中カドミウム濃度の低下は、アルカリ資材の施用で土壌pHが高まることにより、可給性の高い0.01M-HCl抽出カドミウム濃度が低下することによるものと考えられる(表1)。
- アルカリ資材無施用の子実中カドミウム濃度を100とした指数で土壌pHとの関係をみると、資材施用によって土壌pHが高まると子実中カドミウム濃度は直線的に低下する。この関係は施用する資材の種類よりも、施用後の土壌pHの影響が大きいと考えられる。土壌pH5.0~7.0の範囲においては、pHを1高めることにより子実中カドミウム濃度は50~76%低下する(図2)。
- 消石灰400kg/10a以下または水酸化マグネシウム300kg/10a以下の施用で土壌pH5.2~6.3の条件においては、資材施用による収量への影響は認められない(表1)。
- 資材施用後の耕耘回数が多いほど子実中カドミウム濃度は低下する。これは、耕耘回数が多いほど資材と土壌が均一に混和されるため、土壌中に偏在するpHの低い部分が減少することによるものと考えられる。このため、資材施用後のロータリー耕耘は3回以上行うことが必要である(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 子実中カドミウム濃度の高い地域ならびに高いと予測される地域で活用する。
- 資材の連年施用については未検討であるので、連年施用では土壌pHの過度の上昇に注意する。
- 試験は灰色低地土、品種サチユタカまたはタマホマレを用いて行った。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
栽培技術
大豆
品種
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