タイトル |
浄水場(広島県太田川水系)発生土の花壇苗生産への利用 |
担当機関 |
広島総研 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
伊藤純樹
蔵尾公紀
延安弘行
竹中賢司
田部 大
原田秀人
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発行年度 |
2007 |
要約 |
ペチュニアおよびパンジーの花壇苗生産に、天日乾燥後砕土した粒径6~2mmの浄水土とピートモスの混合培地が利用でき、超微粒コーティング肥料(70日タイプ)をペチュニアは110~140、パンジーは80~110 mgN/株の施用で生育・品質が安定する。
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キーワード |
ペチュニア、パンジー、花壇苗、浄水土、コーティング肥料
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背景・ねらい |
浄水場由来の発生土(以下は浄水土と略記)は、大部分が産業廃棄物として処理されているが、資源としての有効利用が求められている。そこで、浄水場(瀬野川)の発生土を花壇苗培地へ利用するため、天日乾燥後砕土し、粒径を6~4mm、4~2mm、2mm以下の3水準に篩別した資材を用いてペチュニアならびにパンジーの生育状態から判定する。また、生育良好な浄水土混合割合でコーティング肥料を用いた適正施肥量を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 浄水土とピートモスの混合割合(容積比)は、仮比重が0.5、有効水分率が10%を目安に70:30、50:50を選んだ。この混合でパンジーおよびペチュニアの栽培実験を行った結果、ペチュニアでは粒径が6~4mm、4~2mmの浄水土とピートモスの容積比70:30で参考培地と同程度の生育(生重)である。パンジーは粒径が6~4mm、4~2mmの浄水土とピートモスの容積比70:30および50:50で参考培地と比べて生育(生重)が同等以上である(表1)。
- ペチュニアの生育項目値は、施肥量にかかわらず、ロングトータル花き1号70日タイプが100日タイプよりも大きい(表2)。70日タイプの中では、いずれの調査項目値ともN施肥量50mg区および80mg区で小さい傾向にあり、施肥量の増加に伴い大きくなる傾向を示すが、個体間の生育(生重)の変動が大きい。パンジーの生育項目値はマイクロロング70日タイプ110mg区で最も大きい(表2)。また、外観はペチュニアでは70日タイプ110 mg区および140mg区、パンジーでは70日タイプ80mg区および110mg区で良好である(図1)。
- 窒素の吸収量は、ペチュニアでは生育良好な70日タイプ110 mg区および140mg区で約52および60mg/株で、パンジーでは70日タイプ80 mg区および110mg区で38および67mg/株であり、見かけの窒素利用率が40%以上で十分な施肥量と考えられる(表3)。
- 以上の結果から、ペチュニア生産には、粒径6~2mmの浄水土とピートモスの容積比70:30混合培地を利用し、施肥は超微粒コーティング肥料(マイクロロング)70日タイプを用い、株当たり窒素で110~140mg(現物で3.0~3.9g/L) 施用する。パンジーはピートモスの容積比70:30あるいは50:50の混合培地を利用し同肥料を株当たり窒素で80~110mg(現物で2.2~3.0g/L)施用する。
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成果の活用面・留意点 |
- 広島県の太田川水系瀬野川浄水場発生土で得られた成果である。
- 浄水土はpH が7以上と高いのでpH未調整のピートモスと混合し、炭酸カルシウム等を用いてpH6.0~6.5に矯正する。
- 浄水土が乾燥すると水分保持に時間がかかり定植後も水分を含みにくいので、培地作成時に十分潅水してピートモス、炭酸カルシウムおよび肥料と混和し定植する。
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図表1 |
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カテゴリ |
肥料
乾燥
栽培技術
施肥
パンジー
ペチュニア
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