夏秋トマト後作のセルリー養液栽培における根域加温の効率的な時間帯

タイトル 夏秋トマト後作のセルリー養液栽培における根域加温の効率的な時間帯
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2005~2006
研究担当者 木下貴文
東出忠桐
藤野雅丈
伊吹俊彦(畜産草地研)
笠原賢明
発行年度 2007
要約 冬季のセルリーの培地耕において、温床線により最低15℃設定で根域加温する場合の根域温度は、朝方加温と終日加温では夕方までほぼ同様に推移し、収穫量も同等となる。朝方加温の電力コストは終日加温に比べて約60%削減できる。
キーワード 中山間傾斜地、セルリー、根域温度、加温時間帯、収穫量、省電力加温
背景・ねらい 傾斜ハウスおよび傾斜地対応型の養液栽培システムの導入により、中山間傾斜地における夏秋トマト栽培の安定多収生産が可能となった。しかし、施設の有効利用や償却といった観点からは夏秋トマトに続く冬作の導入が必要である。また、当該地域は平地と比べて気温の低い地域であり、昨今の原油価格の高騰もあることから、施設の加温費用をできるだけ抑えることが求められる。そこで、栽培管理に手間がかからず、傾斜ハウスや養液栽培システムを有効に使うことのできる作目としてセルリーを選定し、冬季の効率的な生育促進のために、省エネ・低コスト根域加温法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 温床線を用いてセルリーの定植から収穫まで根域加温(最低15℃設定)を行う場合、加温時間帯を朝方(3:00~9:00)のみ(朝方加温)にすると、根域温度は夕方まで終日加温と同様に推移し、夜間は低く推移する。加温時間帯を昼間(9:00~15:00)のみ(昼間加温)とすると、根域温度は午前中には朝方加温より低く推移し、それ以外の時間帯では朝方加温と同様に推移する(図1)。
  2. セルリー収穫物の調製重は、朝方加温では、昼間加温よりも大きくなり、終日加温と同等となる(図2)。
  3. 無加温区からの平均根域温度の上昇度当たりの調製重の増加量(調製重増加効率)は、他の加温時間帯に比べて朝方加温において有意に大きい(表1)。
  4. 根域加温に要する電力消費量は、加温時間の短い朝方加温や昼間加温において終日加温より約40~45%少なくなる。また、根域加温に要する電力料金を試算すると、朝方加温において深夜に安い電力料金体系を採用した場合、終日加温よりも電力料金は約60%安くなる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、徳島県東みよし町山腹型傾斜畑地域(標高約300m、傾斜角6°、2005年12月~2006年3月の平均外気温2.9℃)で得られたものであり、中山間傾斜地域の施設栽培に適用できる。
  2. 培地には夏秋トマト栽培で用いたもの(樹皮をポリバッグに詰めたもの)をそのまま利用できる。
  3. 本成果は、幅約30cmのベッド(1mあたり約20Lの培地を充填)底部に、長さ30mの温床線(100V用、250W)1本を7.2mごとに折り返し、ベッドと平行に4列に設置して根域の加温を行った場合の結果である。
  4. セルリーの凍傷害を防止するため、施設内の最低気温を3℃以上に設定する。
  5. 株間36cmで定植を行う。培養液はEC2.0~3.0dS m-1に調製して施用する。給液回数は1日4回~6回、1回の給液量は100ml 株-1程度とする。培養液加温は行わない。
図表1 220499-1.gif
図表2 220499-2.gif
図表3 220499-3.gif
図表4 220499-4.gif
カテゴリ 傾斜地 コスト 栽培技術 施設栽培 省エネ・低コスト化 セルリー 中山間地域 低コスト トマト 養液栽培

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