F(ab')2フラグメントを用いたTAS-ELISA法によるメロン黄化えそウイルスの検出

タイトル F(ab')2フラグメントを用いたTAS-ELISA法によるメロン黄化えそウイルスの検出
担当機関 愛媛農試
研究期間 2007~2009
研究担当者 石川浩一
楠元智子(愛媛農試)
発行年度 2007
要約 コーティング抗体にF(ab')2フラグメント、2次抗体にIgG、3次抗体に酵素標識プロテインAを使用したTAS(三重抗体)-ELISA法は、DAS-ELISA法より高感度で、メロン黄化えそウイルスを媒介するミナミキイロアザミウマの保毒虫検定に有効である。
キーワード F(ab')2フラグメント、TAS-ELISA法、メロン黄化えそウイルス、保毒虫検定
背景・ねらい キュウリ黄化えそ病の病原ウイルスであるメロン黄化えそウイルス(MYSV)はミナミキイロアザミウマによって媒介される。本病の適切な防除を行うには、キュウリ栽培期間中の本病の発生消長に加えて、媒介虫での保毒虫率の動向を把握することが重要である。現在、保毒虫率の検定は、遺伝子診断法で行われているため、多試料の検定は煩雑となっている。一方、多試料検定が容易であるDAS-ELISA法では、十分な反応が得られず、判定が難しい。そこで、ウサギで作製したIgGからF(ab')2フラグメントを作製し、IgGとF(ab')2フラグメントを用いて高感度なTAS-ELISA法を確立し、現地で発生する媒介虫の保毒状況を把握できる多試料検定法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. TAS-ELISA法は、通常、ウサギとマウスで作製した抗体等、2種類の抗体を必要とするが、F(ab')2フラグメントを使用することでDAS-ELISA法と同様に1種類の抗体での検定が可能である。
  2. F(ab')2フラグメントの力価はFcフラグメント除去前のIgGとほぼ同じである。
  3. TAS-ELISA法による検定はDAS-ELISA法と同様に2日間で終了する(図1)。
  4. TAS-ELISA法はDAS-ELISA法と比較して、感度が約16倍高くなる。TAS-ELISA法による罹病葉磨砕液での検出希釈限界は、25,600倍である(図2)。
  5. TAS-ELISA法と遺伝子診断法(RT-PCR)とで保毒虫検定結果を比較すると、ほぼ同等の結果が得られる(表1)。一方、DAS-ELISA法では、ミナミキイロアザミウマ体内のMYSV濃度が低い場合には検出できない。
成果の活用面・留意点
  1. F(ab')2フラグメントは、IgGをペプシン処理することで容易に得られる。MYSV-IgGは日本植物防疫協会から、F(ab')2フラグメント作製及び精製キットはPIERCE社から、コンジュゲートのアルカリフォスファターゼ標識プロテインAはSIGMA社から販売されている。
  2. 試料調製液、抗体の希釈液として用いるPBSTに5%(v/v)ブロッキングワン(ナカライテスク株式会社)を添加することで非特異反応を十分に抑えることができる。
  3. F(ab')2フラグメントを用いたTAS-ELISA法はMYSVの保毒虫検定に限らず、低濃度のウイルス検出に有効な検定法である。
図表1 220506-1.gif
図表2 220506-2.gif
図表3 220506-3.gif
カテゴリ 病害虫 黄化えそ病 きゅうり 防除 ミナミキイロアザミウマ

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