タイトル |
duplex-tube capture-RT-PCRによるヤマノイモモザイクウイルスとヤマノイモマイルドモザイクウイルスの同時検出 |
担当機関 |
山口農総セ |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
鍛治原寛
村本和之
井上 興
伊藤真一(山口大農)
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発行年度 |
2008 |
要約 |
試料をカーボネートbufferで磨砕し、tube captureすることで行うduplex-tube capture-RT-PCRにより、ヤマノイモモザイクウイルス(JYMV)とヤマノイモマイルドモザイクウイルス(YMMV)が、簡便かつ迅速に同時検出できる。
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キーワード |
JYMV、YMMV、duplex-tube capture-RT-PCR、ヤマノイモ、同時検出
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背景・ねらい |
国内で栽培されているジネンジョ、イチョウイモのほとんどは、JYMVやYMMVに単独もしくは重複感染していることが報告されている。JYMVは、葉上にモザイク症状を引き起こし、著しく収量を減少させるが、YMMVの被害の実態は不明である。これらウイルスの検定については、従来法では、JYMVまたはYMMVを別々に検定する必要があり、煩雑となっている。そこで、両ウイルスを簡便で、迅速に検出できる手法として、duplex-tube capture(TC)-RT-PCRによるJYMVとYMMVの同時検出法を開発し、両ウイルスの実態調査等に利用する。
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成果の内容・特徴 |
- 本法は、従来の簡便法であるSimple-direct-TC 法(Suehiro et. al, 2005)と直接吸着法(森田ら、2004)を改変し、磨砕液をPBSTからカーボネートbuffer(0.05M pH9.6)に、磨砕液のチューブ内静置を室温15分間から37℃2時間静置に変更し、2種類のプライマーセットを利用してワンステップRT-PCR(duplex-RT-PCR)を実施することで、JYMVとYMMVを同時検出することを特徴とする。
- 試料は乳鉢と乳棒を用いて、カーボネートbuffer中で磨砕し、その磨砕液50μlを直接0.6mlのチューブ(BM製502-GRD)に入れて37℃2時間静置する(Carbonate buffer-direct-capture法)。静置後は、PBSTで1回洗浄し、洗浄したチューブに50μlの滅菌水を加え、80℃5分間熱処理を実施後、氷中に2分間静置する。
- cDNAの合成及びRT-PCR反応は、Prime Script One Step RT-PCR Kit Ver.2(Takara)を用い、JYMVとYMMVの検出用プライマーを入れ、温度条件50℃30分1回、94℃2分1回、94℃15秒-45℃15秒-72℃30秒40サイクルで、duplex-RT-PCRを実施する(図1)。
- 検出用プライマーには、JYMV用に125F (5’-TTGGATGATAATTCAATGCAA-3’)と12345R(5’-GTGGCATATACGCTTTTTC-3’)、YMMV用にYFSQ7(5’-AATGGAGCAGAACGGAGA-3’)とYRSQ7(5’-CAGAGATGTATGGTGCA-3’)を用いる。
- 2.0%アガロースゲルを用いてPCR産物を電気泳動すると、重複感染している場合には、JYMV由来の241bp、YMMV由来の174bpの両 DNA断片が同時に検出できる(図2)。
- 本法の検出感度は、従来のSimple-direct-TC法と比較して、約1000倍高い(表1、図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本法では、どの部位のサンプルからも検出が可能である。また、凍結サンプルではなく、生サンプルを用いることで検出感度が約10倍向上する。
- 本法は、ヤマノイモ属(ジネンジョ、イチョウイモ、ダイジョ)からの両ウイルスの検出に適応できる。また、他の作物からの複数ウイルス検出技術としても有効である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
いちょう
モザイク症
やまのいも
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