タイトル |
プラントボックス法を用いた堆肥品質評価法 |
担当機関 |
奈良農総セ |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
竹中勲
平浩一郎
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発行年度 |
2008 |
要約 |
プラントボックス法を用いた堆肥品質判定は、堆肥の水抽出液を満たした部分からレタス根の伸長阻害が見られなくなるまでの距離を指標として判定可能である。
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キーワード |
堆肥、品質評価、プラントボックス
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背景・ねらい |
堆肥の品質によっては農作物に対する生育障害が生じる。堆肥の品質評価法として用いられる発芽試験等の生物検定は、生育量の測定に時間を要する。そこで、アレロパシーの検定に用いられるプラントボックス法を堆肥の品質評価法に適用し、その有効性及び測定の簡易性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 装置は、アクリル製透明容器(150mm×30mm×70mm)と検定溶液用チューブ(容量15mlの遠沈管にφ1mmの穴を均等に32箇所開けたもの)からなる(図1)。手順は、1)チューブを設置したアクリル容器に0.5%(w/v)寒天約200mlを注ぎ、ゲル化させる。2)寒天上にレタス種子(グレートレークス366)を5mm間隔で直線状に播種した後、チューブ内に検定溶液12mlを注入する。検定溶液は、堆肥に重量比1:5で蒸留水を加えて30分間振とう抽出し、ガーゼでろ過したろ液を用いる。3)ラップフィルムで封をし、根の部分を遮光した後、グロースチャンバー(25℃、LD=12:12h、照度3,000lx)で5日間静置し、根長を観察する(図2)。阻害性の判定方法は、検定溶液用チューブから根の伸長阻害が見られなくなる植物根までの距離(阻害距離:図1)を計測し、その長短で行う。
- 未熟で発芽阻害の見られる堆肥(発芽率50%、堆積期間21日、EC2.65、T-N1.50%DW)の抽出液は近接するレタス幼根の伸長を著しく阻害し、距離が離れるほど伸長抑制が軽減される。未熟な堆肥は阻害距離が長く、長期間腐熟し発芽阻害性の低い堆肥(発芽率92%、堆積期間3ヶ月、EC3.09、T-N1.33%DW)は、阻害距離が短くなる。阻害距離は、伸長抑制された種子(播種間隔5mm)を数えることにより簡易に計測可能である(図3)。
- コマツナ種子の発芽総合評価(発芽試験の発芽率と外観をそれぞれ5点満点で配点して、合計で総合評価する。家畜ふん堆肥の品質評価・利用マニュアル参照)と、プラントボックス法による評価には相関関係が見られる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 溶液部分を変更することにより、家畜ふん堆肥以外の堆肥の品質評価も可能となる。
- 発芽試験の根長測定や、花粉管生長テストの花粉管長測定と比較して、メジャーによる計測が不要であり、簡素化が図れる。
- 供試堆肥はそれぞれ堆積期間、資材等の異なる牛ふん堆肥24点を用いた(データ省略)。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
こまつな
播種
評価法
レタス
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