タイトル |
水稲のヒコバエを抑制するための栽培管理技術 |
担当機関 |
滋賀農技セ |
研究期間 |
2007~2008 |
研究担当者 |
森 茂之
山中成元
高畑正人
|
発行年度 |
2008 |
要約 |
水稲ヒコバエの発生は熟期の遅い品種ほど少ない。コシヒカリのヒコバエ制御技術として、遅植え、早期穂肥施用、早期中干しの効果が高い。これらを組み合わせることにより、本作玄米の収量と外観品質に悪影響を及ぼさず、野生獣のエサ資源を低減し、野生獣の農地依存度が軽減できる。
|
キーワード |
水稲、ヒコバエ、制御、野生獣、エサ資源
|
背景・ねらい |
水稲収穫後に再生してくる株(以後、「ヒコバエ」とよぶ)は、野生獣にとって秋冬季の重要なエサ資源となっている可能性が指摘されている。そこで、本作玄米の収量と品質に悪影響を及ぼさずヒコバエを抑制するための栽培管理技術を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 熟期が遅い品種ほどヒコバエ生体重は少ない(図1)。
- コシヒカリのヒコバエ生体重は、6月上旬植えすることにより5月上旬植えの約50%に抑制できる(図2)。
- 穂肥2回分施体系におけるコシヒカリのヒコバエ生体重は、2回目穂肥を出穂11日前に施用することによって、出穂4日前施用の約80%に抑制できる(図3)。
- コシヒカリのヒコバエ生体重は、中干しを早期実施(茎数13本/株の時期)することによって、慣行(茎数18本/株の時期)の約65~90%に抑制できる(図4)。
- コシヒカリのヒコバエ生体重は、6月上旬植え、2回目穂肥の出穂11日前施用および早期中干しの組み合わせにより、5月上旬植え、2回目穂肥の出穂4日前施用および慣行中干しの組み合わせの約25%に抑制できる(データ略)。
- 6月上旬植え、2回目穂肥の出穂11日前施用および早期中干しの組み合わせの本作玄米の収量および外観品質は、5月上旬植え、2回目穂肥の出穂4日前施用および慣行中干しの組み合わせと比べて同等以上である(データ略)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本試験は滋賀県北部の平坦地で実施しており、遅植え、早期中干し、熟期の遅い品種の作付けは山間地や寒冷地では収量低下の可能性があるため、本成果の導入にあたっては地域による考慮が必要である。
- 穂肥の施用時期を早めすぎると、倒伏や白未熟粒の増加する可能性がある。
- 野生獣のエサ資源の低減は、ヒコバエだけでなく、放棄果樹や畦畔雑草などの削減対策も同時に必要である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
病害虫
栽培技術
雑草
水稲
品種
|