タイトル |
傾斜地と平地のトマト個体群の受光特性の違い |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2007~2008 |
研究担当者 |
東出忠桐
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発行年度 |
2008 |
要約 |
トマト個体群落内の光の減衰率は、閉じた群落では同一品種において栽植密度や草丈により異なることはないが、傾斜地では平地よりも光減衰率の小さい場合がある。受光特性の違いは1日のうちの特定時刻の個葉受光量の違いによる。
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キーワード |
傾斜地、トマト、受光、吸光係数、モデル
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背景・ねらい |
傾斜地用のハウスおよび養液栽培の導入によって、傾斜地のトマト収量は慣行の栽培に比べて大幅に増加した(平16成果情報)。収量増加の要因には、栽培期間の拡大、病害虫の回避、養水分管理の向上が考えられるが、これら以外にも受光特性の違いにより、傾斜地の作物生産効率が高い可能性も考えられる。そこで、トマト個体群の受光特性に対する圃場の傾斜の影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 傾斜地(東南東斜面)および平地のトマト個体群の個葉受光量を測定すると、群落内の光の減衰率(吸光係数k)は、平地よりも傾斜地で小さい(図1)。
- 植物体形状をモデル化して実測とほぼ同条件の受光量を算出した場合にも、群落内の光減衰率は平地よりも傾斜地で小さい。
- 実測とほぼ同条件における日変化シミュレーションによると、上位葉の受光量は終日、傾斜地でも平地でもほぼ同じであるが、中下位葉の受光量は、主に午前中に平地よりも傾斜地で多く(図2)、受光特性の違いは1日のうちの特定時刻の受光量の違いによるものといえる。
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成果の活用面・留意点 |
- 群落の吸光係数は、閉じた群落であれば同一品種では栽植密度や草丈に関わらず同じであるのが一般的であるが、本成果は、圃場の傾斜条件により吸光係数が異なることを明らかにし、多収性を考える上で重要な知見となる。
- 光減衰率が小さい個体群落では一般に圃場面積あたりの光合成速度が大きく、傾斜地個体群では作物生産効率が平地より高いことが示唆される。
- 受光特性に対する圃場傾斜の影響は、斜面方位、角度などの条件によって異なり、東~南~西斜面において群落内の光減衰率が平地より小さいと推定される。
- シミュレーションでは、葉を平面状の円とし、斜面の方位、角度、緯度、季節、個体間隔その他の条件を変えた場合の晴天日の直達光受光量を個葉ごとに求めることができる(発表論文等1)および2))。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
害虫
傾斜地
多収性
トマト
品種
養液栽培
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