但馬牛枝肉画像解析とその遺伝的パラメータの推定はロース芯内脂肪交雑粒子塊形状等の肉質の改良に活用できる

タイトル 但馬牛枝肉画像解析とその遺伝的パラメータの推定はロース芯内脂肪交雑粒子塊形状等の肉質の改良に活用できる
担当機関 兵庫農総セ
研究期間 2008~2010
研究担当者 福島護之
吉田恵実
秋山敬孝
坂瀬充洋
岩木史之
大山憲二(神戸大学)
発行年度 2008
要約 枝肉画像を解析したデータを用いてこれらの遺伝的パラメータを推定し、ロース芯内の脂肪交雑の特徴や推移を検討することは、脂肪交雑粒子塊の形状など現行の格付では評価が困難な形質の改良に活用できる。
キーワード 牛枝肉画像解析、遺伝的パラメータ、ロース芯内脂肪交雑粒子塊
背景・ねらい
兵庫県では、産肉能力の育種価を用いた種雄牛選抜を実施した結果、産肉能力の改良は順調に進んでいる。一方、ロース芯内脂肪割合が増加するのに伴い、脂肪交雑を構成する個々の脂肪塊中に大きなものが増加しており、黒毛和種本来の細かなサシである『霜降り(小ザシ)』を望む声が高まっている。そこで、本試験では枝肉画像を解析したデータを用い、これらの遺伝的パラメータを推定することにより、ロース芯内の脂肪交雑粒子の特徴や年次推移を解析し、今後の但馬牛肉質改良の可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 2006年10月~2008年4月に格付された枝肉の第6~7肋骨間で切開された枝肉横断面をミラー型牛枝肉横断面撮影装置(HK-333;早坂理工(株))を用いて撮影し、枝肉横断面画像をBeef AnalyzerⅡを用いて解析する。産肉能力の育種価評価に用いる肥育農家情報をもとに、5頭未満の出荷農家の記録を削除し、1,834頭の分析結果に血統情報を連結し、6,287頭でパラメータ推定を実施する。
  2. 分析形質は枝肉形質6項目と画像解析形質8項目の計14形質で、解析モデルは、出荷年、出荷月、性、と場を母数効果として、出荷月齢(1次および2次)と近交係数(1次)を回帰として、個体、農家、残差を変量効果として考慮し、REML 法で推定する。
  3. 枝肉形質では0.342~0.683と大半で比較的高い遺伝率が、また、画像解析形質では0.038~0.392の遺伝率が推定され、特にロ-ス芯の脂肪割合や脂肪交雑粒子塊の大きさを示す「あらさ指数:細線化5回(以下(5))」などでは、0.35を超える中程度の遺伝率が推定される(表1)。
  4. 枝肉形質との遺伝相関を検討したところロース芯内のあらさや脂肪割合に正の相関が認められる一方、脂肪交雑粒子の細かさを示す「細かさ指数」と負の相関が認められる(表2)。
  5. 評価された雌牛の生年による「あらさ指数(5)」、「ロース脂肪割合」「細かさ指数」の育種価について推移を検討したところ前2者が上昇しており、近年、脂肪交雑粒子塊の大きなものが増加している傾向が示唆される(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 但馬牛の産肉能力、とりわけ脂肪交雑粒子塊の形状など現行の格付では評価が困難な形質の改良に画像解析が有効な手法となることから、種雄牛造成等に利用できる。
図表1 220567-1.jpg
図表2 220567-2.jpg
図表3 220567-3.jpg
カテゴリ 育種 出荷調整

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