草量推定に必要なサンプル数

タイトル 草量推定に必要なサンプル数
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2005~2007
研究担当者 塩見正衞(茨城大)
堤道生
板野志郎(畜産草地研)
発行年度 2008
要約 仮想草地群集によるシミュレーションの結果、サンプルの抽出密度は草量推定精度に影響しない。50 cm四方の枠を用い、確率95%および誤差±10%での草量推定には、採草地、通常の放牧草地、荒れた放牧草地で、それぞれ、9、77、200サンプルが必要である。
背景・ねらい
草量の推定は草地の管理や研究で日常的に行われるが、どの程度の数のサンプルをとればどの程度の推定精度を得られるかに関しての指針はない。草量推定精度は、サンプルの数だけでなく対象草地における草量の空間的不均一性(ばらつき)に影響されると考えられる。また、抽出密度(対象草地の面積あたりのサンプル数)が推定精度に影響を及ぼすとの指摘もあるが、これらの影響は定量化されていない。そこで、草量推定精度と抽出密度、サンプル数および草量の空間的不均一性との関係を、ガンマ分布に基づく仮想草地群集を用いたコンピューターシミュレーションにより明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 面積(50 cm四方)あたりの平均草量が全て同じ(50 g DM)である仮想草地群集を、草量のばらつきを表すことができるガンマ分布に従う乱数を用いて作成する。2段階の面積(狭い草地0.25 haと広い草地1.25 ha)に、採草地、通常の放牧草地、荒れた草地を想定した3段階の草量の空間的不均一性を設定する(図1)。これらの仮想群集において、異なるサンプル数で50 cm四方の枠を使用したランダムサンプリング(無作為抽出)を想定した草量推定シミュレーションを1,000回行い、その精度を検証する。
  2. 狭い草地と広い草地でのシミュレーション結果を比較すると、草量の空間的不均一性やサンプル数などの条件が同じであれば、草量推定精度に差異は見られない(図2)。すなわち、抽出密度は推定精度に影響しない。以下、狭い草地での結果のみを示す。
  3. 確率95%で真の値に対し±10%の推定誤差を許容するとき、必要なサンプル数は、採草地、通常の放牧草地、荒れた放牧草地でそれぞれ、9、77、200である(図3、表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 草地の管理や研究で日常的に行われる草量推定において、許容誤差を考慮した上でのサンプル数の決定ができるほか、その逆にサンプル数からの誤差推定にも利用できる。
  2. 3段階の草量の空間的不均一性は既存の研究結果をもとに決定した。「荒れた放牧草地」は不食過繁地が多く形成された状態を想定しており、これまでの知見から最高に近い値の不均一性を設定した。また、攪乱の少ない耕作放棄地の不均一性は採草地に近いものと考えられる。
  3. 50 cm四方の枠を用いた草量推定を想定しているが、枠の大きさを変えた場合の検討も同様の方法で可能である。そのときには新たに草量の空間的不均一性の水準を決定し直す必要がある。また、1 m四方の枠を用いる場合には、50 cm四方の枠を用いる場合と比較して、半数のサンプルで同様の草量推定精度が得られるとの報告がある。
  4. ランダムなサンプル抽出を想定しており、サンプル抽出法を変更した場合については考慮していない。
図表1 220574-1.gif
図表2 220574-2.gif
図表3 220574-3.gif
図表4 220574-4.gif
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