タイトル |
シバ型半自然草地における植物種の豊富さ簡易調査法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
高橋佳孝
堤道生
板野志郎(畜産草地研)
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発行年度 |
2008 |
要約 |
環境支払いを想定し、シバ型半自然草地における植物種の豊富さ簡易調査法を提案する。その手順は「1m四方の枠に出現する単子葉草本以外の種数を測定する」ことのみである。調査枠の数は10個程度でよく、調査時期は5月から10月の間であれば問わない。
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キーワード |
環境支払い、植生、生物多様性、放牧草地、野草地
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背景・ねらい |
我が国の半自然草地(野草地)面積は長期的に減少しており、草原的環境に適応して生育する身近な植物も絶滅の危機に瀕している。半自然草地は多面的な機能を有しており、積極的に保全すべき対象と考えられているが、その推進策の一つとして、生物多様性保全に対する直接支払い制度(以降、環境支払い)の導入が挙げられる。一方、このような環境支払い導入に際しては、現場の農家や普及指導員および一般市民が利用可能な調査手法の開発が必要である。そこで、岩手県から長崎県まで10ヵ所の放牧利用シバ優占草地の植生データ139セットの解析を通じて、植物種の豊富さを簡易に調査する手法を提案する。
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成果の内容・特徴 |
- 1m四方当たりの出現種数とそれに含まれる在来種数の間に強い正の相関が認められる(図1)。すなわち、1m四方当たりの在来種数を全出現種数から高精度で推定することができ、これを種の豊富さの指標として用いることとする。
- 1m四方当たりの出現種数と単子葉草本以外の種数との間には強い正の相関が認められる。さらに、在来種数と単子葉草本以外の種数にも強い正の相関が認められる(図2)。したがって、単子葉草本以外の比較的同定の容易な植物の種数を測定することにより、在来種数を高い精度で推定できる。
- 在来種数推定の際の枠数とサンプルの標準誤差の関係をシミュレーションした結果によれば、1m四方当たりの推定在来種数における標準誤差を平均で1以内とするには8個、最大で2以内とするには12個の調査枠数が必要である(図3)。
- 調査時期の影響を検討したところ、調査日が在来種数に対して及ぼす効果は認められない(表1)。したがって、データを取得した5月から10月の間であれば、調査時期が在来種数推定に及ぼす影響は小さいものと考えられる。
- 以上の結果より、シバ型半自然草地における植物種の豊富さ簡易調査法として「1 m四方の枠内に出現する単子葉草本以外の種数を測定する」ことを提案する。調査する枠数は10個程度、調査時期は5月から10月の間で十分な推定精度が得られる。
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成果の活用面・留意点 |
- シバ型半自然草地に対する環境支払いの正否を決定するための手法として利用できる。
- 単位面積(1m四方)あたりの平均種数を指標として用いているため、調査草地内で植生構造が大きく変動しない限り、草地面積が調査結果に及ぼす影響は小さいものと考えられる。
- 環境支払いにおける種の豊富さの評価基準の決定に際しては、適用地域のより詳細な植生データの検証および社会・経済学的な見地からの検討が別途必要となる。また、実際の運用に当たっては、調査者によるバイアスについても配慮する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
評価基準
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