タイトル |
暖地における早期栽培用水稲育種のための遮光法による耐冷性検定法 |
担当機関 |
鹿児島県農業試験場 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1994 |
要約 |
暖地の早期栽培用水稲品種の障害型冷害に対する耐冷性の簡易な検定法として、早植えと遮光処理を行う方法が有効である。この方法は、暖地で早植えを行い出穂1か月前から自然冷温にさらすと同時に光透過率44%の黒寒冷紗で遮光する方法である。
|
背景・ねらい |
暖地における水稲早期栽培では作付の早進化が進み、一部地域では穂ばらみ期の冷温を原因とする障害型冷害が発生しているため、耐冷性は早期栽培用水稲品種育成の重要な育種目標となっている。そこで、暖地の早期栽培用水稲品種の簡易で精度が高い耐冷性検定法として遮光法を検討した。
|
成果の内容・特徴 |
- 当試験は3年間行い、寒冷地における耐冷性検定基準品種から1992年に10品種、1993年および1994年に各20品種を供試した。ビニールハウス内の水田に通常の栽培より1か月早い3月上・中旬に移植を行い保温管理を行うことで、5月下旬から6月中旬に出穂期となるように生育を促進させた。5月上旬にビニールを除去して自然冷温による冷温処理を行うと同時に光透過率44%の黒寒冷紗を用いた遮光を行った。遮光は成熟期まで継続した。
- 供試品種の不稔率は遮光処理区、非遮光区ともに平均気温が低いほど高く、不稔の発生原因は両区ともに穂ばらみ期の冷温である(図1)。
- 供試品種の両区における不稔率を比較すると遮光処理区が非遮光区よりも高く、遮光処理によって不稔率が増加する(表1)。
- 温度ごとに品種間差を比較すると、各品種の遮光処理区における不稔率の大小と寒冷地における耐冷性の評価とほぼ一致するため、当遮光法は、耐冷性検定法として有効である(図1)。
|
成果の活用面・留意点 |
遮光法は、安定した冷温が得られない暖地での早期栽培用水稲の育種における耐冷性検定法に活用できる。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
育種
水田
水稲
凍害
品種
|