水稲湛水直播用代かき同時土中点播機

• 担当機関: 九州農業試験場
• 研究期間: 1995～1997
• 発行年度: 1995
• 要約: カルパー被覆種子を代かき同時播種で点播できる、省力的な水稲湛水直播機を開発した。播種機構は、播種ロールから間欠的に繰出された数粒の種子を、回転する鋸歯型ディスクによって打撃・加速し、代かき直後の土中に打込む方式である。
• 背景・ねらい: 九州の湛水直播においては強雨・強風による出芽・苗立の不安定性、及び生育後期の倒伏が大きな問題となっている。これを解決するためには播種深度を５～20ミリメートルに保つことが望ましいが、多くの地域で試みられている散播方式では播種深度が浅く、また播種むらも大きい。このため、移植に比べて不安定性が大きく、普及面積は拡大していない。本研究においては、代かき作業と同時に播種を行う省力的な作業体系を取りながら、移植栽培に近い株状の生育を可能にする。代かき同時土中点播機の開発を行った。

成果の内容・特徴

1. 本機は、トラクタに装着されたパディハローと播種機及び鋸歯形打込みディスクで構成される。播種機及びディスクはトラクタバッテリを動力源とする直流モータで駆動される。播種条数は９条（作業幅2.8メートル）である（図１）。
   
2. 横溝式播種ロール（２溝または３溝に改良）より間欠的に繰出されたカルパー被覆種子は、700～1600rpmで回転する鋸歯形打込みディスクによって打撃・加速され、代かき直後の土壌中の点播状に打込まれる。
   
3. 作業方法は、耕うん、入水後に代かきを行い、最後の仕上げ代かき時に代かき同時播種作業を行う。
   
4. 点播種子はほぼ楕円形状に出芽し（図２）、生育中～後期には株を形成する。
   
5. 打込み播種のため播種深度にはばらつきが生ずるが、出芽は良好である（図３）。
   
6. 点播状播種ができる作業速度（0.5メートル／Ｓ）を前提とした場合、播種作業能率は１ヘクタール当たり2.6時間である。
   

成果の活用面・留意点

1. 播種時のカルパー破砕を少なくするため、カルパー被覆後30分～１時間程度陰干しした種子を使用することが望ましい。
   
2. 代かき水は、麦わら等の浮遊のない程度にする。
   
3. 上記の成果は、麦作後の水田（灰色低地土）で得られたものである。
   

• カテゴリ: 水田 水稲 播種