土層破砕によるサトウキビ圃場からの土砂流出低減技術

タイトル 土層破砕によるサトウキビ圃場からの土砂流出低減技術
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 収穫後のサトウキビ株出し圃場の畝間を、R形の粉砕爪を備えた振動式全層粉砕機で作業深さ40~45センチメートルまで土層粉砕することにより、、雨水の浸透性が慣行栽培の4倍に向上し、圃場からの流出水量と土砂流出量がそれぞれ慣行栽培の1/5と1/2に低減する。
背景・ねらい 沖縄本島をはじめとする南西諸島では、国頭マージ土壌の土砂流出により海洋汚染が問題となっている。このため、国頭マージ土壌地帯のサトウキビ圃場において、土層破砕により圃場の浸透性を高め、圃場からの表面流出水量を減少させ、圃場からの土砂流出量を低減する圃場管理技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 振動式全層破砕機による土層破砕範囲は、ストレート刃で幅20~30センチメートル、R形刃(刃幅20センチメートル、刃の曲げ角123度)で幅40~50センチメートルと広範囲である。圃場の浸透性は、株出しサトウキビ圃場の場合、慣行の中耕ロータリのみの場合に比べ3~4倍に改善される(図1、2)。
  2. 株出し栽培圃場では1回の降雨が90ミリメートル程度の場合、圃場からの表面流出水量は慣行方式では59立方メートル/10アールであるが、R形刃で畝間を土層破砕することにより12立方メートル/10アールと約1/5に減少する(図3)。また、土砂流出量は、慣行方式では43キログラム/10アールであるが、土層破砕により12キログラム/10アールと約1/2に減少する。
  3. R形刃の土層破砕に帯状の作物残渣マルチを組み合わせることにより、流出水量は土層破砕のみの場合と同じであるが、残渣マルチのフィルター効果により沈砂量が6キログラム/10アールと慣行方式の1/7にまで減少する。
  4. 新植圃場の浸透性は、慣行のプラウ耕のみの場合には7カ月目で浸透性が低下するが、プラウ耕前に土層破砕耕を行うと14カ月後まで浸透性が持続できる。
成果の活用面・留意点 国頭マージ土壌のサトウキビ株出し栽培圃場からの土砂流出低減技術として活用できる。土層破砕作業は60キロワット(80PS)級トラクタで作業可能である。なお、本方式は土層粉砕により土中に空隙を作り、そこに雨水を溜める方式のため、空隙量を上回る降雨に対しては土砂流出防止効果が減少する。したがって、圃場の緑の枕地部分等に数メートル幅で帯状に残渣マルチや植生帯を併設することが望ましい。
図表1 220631-1.gif
図表2 220631-2.gif
図表3 220631-3.gif
カテゴリ さとうきび 圃場管理

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