カンショ貯蔵中のデンプン分解の品種間差異とα−アミラーゼ活性との関係

タイトル カンショ貯蔵中のデンプン分解の品種間差異とα−アミラーゼ活性との関係
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 カンショ貯蔵中において、デンプンの減少が著しい品種ではアルファー-アミラーゼ活性の増加程度が高い。また、代謝中間生成物であるデキストリン含量も増加する。
背景・ねらい カンショは収穫後、一定期間の貯蔵を経て利用されることが多い。しかし、貯蔵中に塊根内のデンプンは分解されやすく、その程度は年次、栽培法などの環境条件や品種によっても異なる。デンプンが分解したカンショは、青果用あるいは加工用しての評価が低く、その分解抑制法が求められているが、貯蔵中におけるデンプン分解に関する生化学的機作の詳細は未だ解明されていない。このため、本研究では、貯蔵中のデンプンの分解程度にみられる品種間差異の機作を明らかにするため、デンプン、デキストリン含量の貯蔵中における変動とアルファー-アミラーゼ活性との関係を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 貯蔵中のアルファー-アミラーゼ活性が顕著に増加するベニハヤトではデンプン含量の減少が最も大きい。(図1A、B、D)。
  2. デキストリン含量は貯蔵開始直後では各品種とも同程度で低含量であるが、ベニハヤトでは62日目までに急激に増加しそれ以後も高含量を保持する(図1C)。
  3. HPAEC(高性能アニオン交換カラムとパルス電流検出器を用いたHPLC)を用いたデキストリンの構成オリゴ糖の分析により、これらはアルファー1-4、1-6グルカンであり、過去の文献などから重合度約4~12と推察される(図2)。
  4. 貯蔵中における各品種のアルファー1-4、1-6グルカンのピークの増加程度(図2)は図1Cとよく一致し、ベニハヤトではその増加が顕著である。
  5. アルファー-アミラーゼ活性が高いベニハヤトでデンプンの減少・デキストリンの増加がみられること、またアルファー-アミラーゼの代謝中間生成物と考えられるアルファー1-4、1-6グルカンの蓄積も多いことから、貯蔵中のデンプン分解程度の品種間差異に対してアルファーアミラーゼが主要な役割を果たす。
成果の活用面・留意点 本成果は、貯蔵中のデンプン分解が少ない新品種の育成あるいはデンプン分解を環境的に抑制する方法の開発のための基礎的知見となる。より一層の技術開発のためにアルファーアミラーゼの発現制御機構を解明する必要がある。
図表1 220636-1.gif
図表2 220636-2.gif
カテゴリ 加工 かんしょ 新品種 品種

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