タイトル |
イネが生成するセジロウンカに対する殺卵活性物質 |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
1995~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
セジロウンカの産卵をうけたイネの部位が液浸化をおこすと、部位中の卵が高率で死亡する。液浸化したイネの部位では安息香酸ベンジルが特異的に生成され、この物質は6.4ppm以上の水溶液濃度で殺卵活性を示す。
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背景・ねらい |
分げつ期のイネにセジロウンカが産卵すると、産卵部位が高い割合で液浸化し、その部位中の卵が非液浸化産卵部位の卵に比べ高率で死亡する。特にジャポニカ品種ではこの現象が顕著である。卵は蒸留水中でも正常に発育するので、液浸化産卵部位中に殺卵活性物質が存在することが示唆される。そこで、殺卵活性物質の単離・固定を試みる。
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成果の内容・特徴 |
- セジロウンカの産卵により液浸化した部位には、安息香酸ベンジルがイネ組織1グラム当たり約15ミューグラム存在する。この物質は無産卵部位および非液浸化産卵部位からは検出されない(図1、2)。
- 安息香酸ベンジルは水溶液において、セジロウンカ卵に対して6.4ppm以上の濃度で殺卵活性を示す(図3)。
- 上記の結果から、イネの液浸化産卵部位におけるセジロウンカの卵の死亡原因の一つは液浸化産卵部位に特異的に生成される安息香酸ベンジルである。
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成果の活用面・留意点 |
- イネのセジロウンカに対する殺卵反応は、植物の害虫に対する抵抗性機構として新知見であり、今後類似した現象が発見される可能性がある。
- 安息香酸ベンジルはセジロウンカの新防除資材としての利用が期待される。
- セジロウンカ抵抗性イネを育種する上で重要な知見となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育種
害虫
コスト
抵抗性
品種
防除
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