タイトル |
核磁気共鳴法によるヒマワリ子実の脂肪酸組成の被破壊測定 |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
1995~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
ヒマワリ子実単粒を剥皮してあるいは丸のまま、澱粉粉末充填したNMR試料管内に埋め込み、炭素13核磁気共鳴法で測定すると、簡易、非破壊的に脂肪酸組成の測定が可能である。
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背景・ねらい |
油脂中の脂肪酸組成の分析には、ガス・クロマトグラフィー(GC)による分析が一般に行われている。しかし、この方法では、油脂の抽出・反応による誘導体化・GC分析というプロセスを経るため、多くの時間と手間を要する上に、供試した試料を破壊する。このため、炭素13核磁気共鳴(13C-NMR)法による、剥皮したあるいは丸のままの単粒ヒマワリ子実の脂肪酸組成を非破壊的に測定する手法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 子実を磁場の中心に置き、かつ子実の周辺の空隙を排除するために、剥皮したあるいは丸のままの単粒子実を澱粉粉末で埋め込むようにしてNMR試料管に入れる(図1)。13C-NMR計測条件を表1に示す。
- 13C-NMRでは、水は計測されず、子実中で溶液状態にある脂肪のスペクトルのみが得られる(図2)。130ppm付近、40-15ppm付近で脂肪に特徴的な吸収を示している。
- リノール酸含量が増加するにつれ、130ppm付近のシグナルが2つになる(図2)。これは、2重結合の炭素に由来するもので、オレイン酸は130ppmに9,10位の炭素に由来する1本のシグナル、リノール酸は130ppmと128ppmにそれぞれ、9,13位、10,12位の炭素に由来する2本のシグナルを持つことによる(ステアリン酸はシグナル無し)。
- 剥皮した単粒子実の13C-NMRスペクトルについて、130ppmと128ppmの高さの比とリノール酸含量との相関は、強い相関を示した(図3)。
- 丸のままの単粒子実も同じ傾向を示しており、種皮がある程度厚い丸のままヒマワリ単粒子実でも、非破壊的かつ簡易に脂肪酸組成を測定できる。これは、測定後も播種できる。
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成果の活用面・留意点 |
近赤外法とあわせて、抽出油脂から丸のままの子実まで、用途に沿って、使い分けることができる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
播種
ひまわり
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