暖地向きサイレージ用とうもろこしの高カロリー・極多収品種「九交Ｂ78号」の育成

• 担当機関: 九州農業試験場
• 研究期間: 1996～1996
• 発行年度: 1996
• 要約: 中生に属する暖地向きサイレージ用とうもろこしのＦ1品種「九交Ｂ７８号」を育成した。本品種は、ごま葉枯病等の主要病害抵抗性および耐倒伏性に優れ、乾雌穂重割合が高く、消化性にも優れる極多収品種である。九州・四国地域での春播き栽培用品種として普及が期待される。
• 背景・ねらい: わが国の飼料用とうもろこしでは、アメリカ等の導入品種が主として利用されているが、自給粗飼料の安定生産のためには国産優良品種の育成が不可欠である。そのため、暖地向き安定・多収品種として、中生の晩に属する「はたゆたか」等を育成したが、さらに熟期別優良品種の育成が求められている。そこで、「はたゆたか」より早熟で、耐倒伏性および主要病害抵抗性に優れる多収Ｆ₁品種を育成しようとした。

成果の内容・特徴

1. 「九交Ｂ７８号」は、「Ｍｉ２９」を種子親とし、「Ｎａ５０」を花粉親として育成されたデント種×フリント種の単交雑一代雑種である。
   
2. 熟期は中生に属する。絹糸抽出期は「Ｐ3358」より１日遅く、中生の晩の「はたゆたか」および「Ｐ3472」より２日早い。草型はアプライトで、稈長および着雌穂高は「Ｐ3358」並かやや高く、「はやゆたか」および「Ｐ3472」よりやや低い（表１）。
   
3. 乾総収量およびＴＤＮ収量はともに「Ｐ3358」より10％以上高く、「はたゆたか」および「Ｐ3472」よりも多収な、極多収品種である。乾雌穂重割合は「Ｐ3358」よりやや高く、「はたゆたか」および「Ｐ3472」より高い（表１、図１）。
   
4. 茎葉および雌穂の酵素分解率がやや高く、地上部全体の酵素分解率は「Ｐ3358」を２％上回り、「はたゆたか」および「Ｐ3472」を４～５％上回る（表２）。
   
5. 耐倒伏性は強～極強で、「Ｐ3358」、「はたゆたか」および「Ｐ3472」並である（表１）。
   
6. ごま葉枯病抵抗性は極強で、「はたゆたか」および「Ｐ3472」並であり、「Ｐ3358」より強い。紋枯病には「Ｐ3358」、「はたゆたか」および「Ｐ3472」並に強い（表１）。
   
7. 採種重は、雌雄畦比３：１で23kg／a以上が見込まれる。両親の開花期を合致させるためには、種子親を10日程度晩播する必要がある。
   

成果の活用面・留意点

1. 九州および四国地域の春播き栽培に適し、普及見込み面積は6,000haである。
   
2. ６月以降の晩播栽培には適さないので、５月下旬までに播種する必要がある。
   

• カテゴリ: ごま 飼料用作物 抵抗性 とうもろこし 播種 病害抵抗性 品種