タイトル |
サトウキビモザイクウイルスI系統の外被タンパク質のアミノ酸配列 |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
わが国のサトウキビのモザイク病の病原ウイルスであるサトウキビモザイクウイルスI系統のRNA3’末端の塩基配列を解析し、329アミノ酸残基からなる外被タンパク質の一次構造を推定した。
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背景・ねらい |
サトウキビモザイクウイルス(SCMV)は、わが国のイネ科作物や雑草に広く発生しており、特にサトウキビやトウモロコシで重要である。SCMV-B系統の外被タンパク質のアミノ酸配列についてはすでに報告した(九州農業研究成果情報10号)。今回、わが国のサトウキビに広く発生しているSCMVのもうひとつの系統であるSCMV-Iの外被タンパク質遺伝子の塩基配列を決定して、そのアミノ酸配列を推定した。またこの配列を、配列既知のSCMV-BやSCMV-SC及びSCMVと同じグループに属するジョンソングラスモザイクウイルス(JGMV)と比較して、その類縁関係を明らかにした。
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成果の内容・特徴 |
- SCMV-I-RNAをcDNAクローニングして、外被タンパク質遺伝子を含むクローンを分離した。
- 得られたクローンのcDNAの塩基配列を決定した。
- SCMV-Iの外被タンパク質遺伝子は、987塩基から構成されており、329個のアミノ酸残基をコードしていた(図1)。
- SCMV-Iの外被タンパク質アミノ酸配列の相同性は、SCMV-B、SCMV-SC及びJGMVと比較すると各々70%、68%及び54%である。
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成果の活用面・留意点 |
- 本外被タンパク質のアミノ酸配列は、他の近縁なSCMVグループのウイルスとの類縁関係を知るのに役立つとともに、他の類縁関係の遠いウイルスとの類似性の検討に有用である。また、ウイルスの伝搬性や干渉作用についての解析にも役立つ。
- 当該遺伝子cDNAを植物ゲノムに組み込んで本ウイルスに対する抵抗性植物の作出に利用できる。また、本cDNAはウイルスの遺伝子診断に利用でき、類似ウイルスとの相同性の決定のためのプローブとしても使える。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
さとうきび
抵抗性
とうもろこし
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