平成9年産「ヒノヒカリ」における心白粒の発生様相

タイトル 平成9年産「ヒノヒカリ」における心白粒の発生様相
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約 北部九州平坦部における平成9年産水稲「ヒノヒカリ」の検査等級を低下させた心白粒は、強勢穎花で多発しており、弱勢穎花に発生する心白状乳白粒ではなく、強勢穎花に発生する心白粒である。
背景・ねらい 北部九州の平坦部における平成9年産水稲の作況指数は95~96と低く、さらに、6月中・下旬移植の「ヒノヒカリ」では心白粒が多発し1等米比率は極めて低くなった。「ヒノヒカリ」は九州地域の基幹品種であり、その品質低下は当地域稲作にとって重大な問題であるので、本年の心白粒の発生様相を明らかにして今後の品質低下回避の参考資料とする。
成果の内容・特徴
  1. 九州農試場内において様々な条件で栽培した「ヒノヒカリ」の心白発生率は 6.2%~42.2%の範囲内にあり、心白発生率が高いものほど検査等級が低い傾向にある(図1)。
  2. 心白発生率は出穂期によって異なり、出穂期が8月27日~30日の範囲内では出穂期が早いものほど発生率が高い傾向にある。また、出穂期が同じ場合、1穂籾数が少ないものほど発生率が高い(図2)。
  3. 心白発生率を穂別にみると、最長稈穂での発生率が2番目に短い稈の穂の発生率に比べて明らかに高く、また穂上の着粒位置別にみると、強勢穎花である1次小穂および2次小穂での発生率が高く、弱勢穎花である3次小穂での発生率は低い(表1)。
  4. 1次小穂および2次小穂について、着生する1次枝梗別に心白発生率をみると、上位から中位の1次枝梗上の粒で発生率が高く、下位の1次枝梗上の粒では低い(図3)。
  5. 以上のように、本年産「ヒノヒカリ」に多発した心白粒は、弱勢穎花に発生する心白状乳白粒ではなく、強勢穎花に発生する心白粒である。
成果の活用面・留意点
  1. 心白粒発生は品種特性と登熟初期の気象条件に左右され、出穂直後の好環境は心白発現を促すとされている。本年の多発要因は、(1)出穂・開花後9月2日までが日照に恵まれ強勢穎花へ潤沢に養分が供給され心白発現が促され、その後の9月3日~7日が一転して寡照となり澱粉集積が不活発となったこと、(2)1穂籾数が例年より少なく強勢穎花の割合が高かったことが考えられる。
  2. 心白粒の多発防止の点からも、「ヒノヒカリ」1品種の同一作期への過度の作付集中を是正する必要がある。
図表1 220698-1.JPG
図表2 220698-2.JPG
図表3 220698-3.JPG
図表4 220698-4.JPG
カテゴリ 水稲 品種

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