タイトル |
営農類型別にみた基幹作物ごとの圃場属性選好度の違い |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
暖地の田畑地目混合地域において,コンジョイント分析を用いて,各経営が利用したいと考える圃場の属性(圃場属性選好度)を,基幹作物について求めると,酪農(飼料作)の区画規模重視やゴボウ作の有効土層重視等の違いがあり,これらは利用主体間での土地利用調整において考慮すべき要件となる。
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背景・ねらい |
暖地の田畑地目混合地域においては,異なる営農類型の併存状況下で,複数の畑作物が水田および畑に作付けられることから,地域農業の再編に際しては,異なる作物・営農類型間での土地利用調整が重要である。そこで,田畑地目が混合し多様な作物が作付けられている熊本県菊池地域を対象に,利用主体間調整の際に考慮すべき要件の一つである圃場属性選好度の作物ごとの差異をコンジョイント分析を用いて明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 手法と適用法
1)コンジョイント分析を用いることで,多くの属性を持つ圃場の中で,各経営がどの属性をより選好しているかを簡易に把握できる。 2)圃場には多くの属性が想定されるが,営農(利用)によって容易に改変できる化学的,生物的属性は除き,水準も含めて営農類型ごとに事前の検討,試行を経て作成している。
- 営農類型による圃場属性選好度の差異
1)酪農経営では大区画圃場の選好度が高く,他の類型との差異が明確に現れている(表1)。 2)酪農におけるイタリアンライグラスや他の営農類型(作物)では水田への選好度が高く水田利用の競合が予想される。しかし,有効土層の深さでは露地野菜(ゴボウ)作と工芸作(タバコ)で相反する水準を選好し,また排水性では施設園芸(メロン)と工芸作の重視度が高い等,適地制約の下で,これらの選好度の違いを調整要件として利用できる(表1)。 3)これら営農類型間での選好度の差異は,イタリアンライグラスの大区画利用,ゴボウの適地への固定的利用等,水田の利用状況に反映されている(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 大区画水田整備後の営農計画を策定する際に,担い手経営間の利用調整要件として活用できる。また,この手法を用いて,さらに異なる営農類型の意向把握も可能である。
- 実際に利用調整に用いる場合には,対象とする地域での圃場属性別の土地資源賦存量および各作物の作付限界規模に関するデータが必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
イタリアンライグラス
経営管理
ごぼう
施設園芸
水田
たばこ
乳牛
排水性
メロン
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