タイトル |
甘しょ収穫機の運行モデル分析による適正作業受託料金の推定 |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
甘しょ収穫機による収穫作業について,機械の運搬等により生じる待ち時間を考慮した運行モデルを作成し適正な作業受託料金を推定すると,現在の受託圃場では14千円弱/10aとなり,受託圃場を25a以上に制限すると3千円程度低減できる。
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背景・ねらい |
南九州畑作地帯では農業労働力の高齢化が進行している。これは高齢農家だけでなく,中高年労働力の雇用に依存する大規模経営の生産維持も困難にしており,地域の生産維持のため作業受託組織の展開が望まれている。そこで,鹿児島県にあるJA100%出資の作業受託会社における加工用・原料用甘しょ収穫作業の活動実態に即した収穫機の運行モデルを作成し,可能な限り安くかつ受託組織の経済的成立条件も満たす料金水準を推定する。
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成果の内容・特徴 |
モデルの特徴および前提条件
- 収穫機は甘しょとバレイショに用い,自走移動が困難なため運搬車を利用する。作業班(甘しょ:オペ1+補助3,バレイショ:オペ1+補助2)は別途車両により次圃場へ移動する。圃場間の移動距離は現状の平均移動距離(甘しょ7km,バレイショ4km)とする。
- 受託圃場は現在の受託圃場の1筆当たりの規模別分布に従ってランダムに発生するものとし,これらの圃場の収穫作業を順次行う。
- モデルには収穫機の運搬と作業班の移動等のズレによって生じる待ち時間を組み込み,収穫機台数と作業班数の組み合わせを変化させた場合の処理可能面積をシミュレートする。
作業面積と適正料金の推定
- 植付圃場のブロック化を行っているバレイショで作業面積が大きく,作業班増加効果は甘しょではより少数で頭打ちとなる(表1)。なお,現在の受託圃場(実態)での作業面積のシミュレーション結果は作業受託会社の最盛期の作業実績にほぼ近似する。
- 受託圃場規模の制限効果は甘しょの4班以上作業時で特に大きく表れる(表1)。
- 降水データにより作成した作業可能日数率から受託作業期間中の総作業面積を求め,受託作業に要する10a当たり費用を算出してこれを作業料金とみなすと,現在の圃場規模(実態-1筆当たり平均25a)では14千円弱/10aが最低水準となる。甘しょの収穫期間(最盛期)を拡大すると,総作業面積は約40ha増加し料金は約1.5千円低下する(表2)。
- さらに受託する圃場の規模を制限すると面積増加と費用低減が生じ,25a以上まで制限した場合には当初より約117ha増加し,約3千円の低減が可能となる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 使用言語はVisual Basic for Applications(Excel95)である。
- 甘しょ収穫機を導入し作業受託組織を設立する際の参考情報として活用できる。ただし,作業料金の設定は農業経営への影響が極めて大きいため,公的支援や収穫期拡大への早掘奨励措置,団地化誘導等地域全体の振興計画を踏まえた総合的な検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
加工
経営管理
収穫機
大規模経営
ばれいしょ
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