シラス台地上の液状きゅう肥連用畑における硝酸態窒素の移動特性

タイトル シラス台地上の液状きゅう肥連用畑における硝酸態窒素の移動特性
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者
発行年度 1997
要約 シラス台地上の液状きゅう肥連用畑で、液状きゅう肥施用後硝酸態窒素は垂直方向に分布域を広げながら土壌中を下降し、短期間で浅層地下水に影響が現れる。液状きゅう肥多量連用畑では標準量連用畑より分布域の広がりが速い。
背景・ねらい 南九州の畑作地帯は日本有数の畜産地帯であり、多量に排出されるふん尿の多くは畑に還元されている。この地帯の畑土壌は火山灰および火山噴出物を母材とし、深層にはシラスが厚く堆積しており、全般に透水性が高い(図1)。さらにこの地帯は日本有数の多雨地帯でもあり、畑に施用された家畜ふん尿由来の硝酸態窒素の下降速度が大きく、短期間のうちに地下水の水質に影響を及ぼすことが予想される。そこで、液状きゅう肥連用畑で液状きゅう肥施用直後に硝酸態重窒素(99.7atom% K15NO3)を2.5gN/m2施用し、硝酸態窒素の移動特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 深い層位ほど土壌溶液に重窒素が認められる積算降水量の範囲が広くなることから、硝酸態窒素は垂直方向に分布域を広げながら下降すると推定できる(図2)。
  2. 多量連用畑(300t/ha施用区)では、標準量連用畑(60t/ha施用区)に比べて少ない積算降水量でアカホヤ層(深さ約300cm)に重窒素が到達する(図3)。また、重窒素施用後の積算降水量3195mmの時点(施用後118日)で、300cm以深の重窒素含有量は多量連用畑の方が標準量連用畑より多い(図1)。従って、多量連用畑では下方への硝酸態窒素分布域の広がりが速いと言える。
  3. 重窒素施用後の積算降水量4158mmの時点(施用後299日)で、多量連用畑内に設置した深さ18.5mの井戸から1.23atom%excessの重窒素を検出した(図4)。液状きゅう肥連用畑では、施用後短期間で浅層地下水に影響が現れる。
成果の活用面・留意点
  1. シラス台地における地下水硝酸態窒素汚染対策の基礎資料となる。
  2. 多雨年(1993年)の結果である。蒸発散量、表面流去水量などによって施用から浅層地下水に到達するまでに要する積算降水量は変動する。
図表1 220728-1.JPG
図表2 220728-2.JPG
図表3 220728-3.JPG
図表4 220728-4.JPG
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