タンデム型加速器質量分析法による植物葉ミトコンドリア内Al濃度の超微量分析

タイトル タンデム型加速器質量分析法による植物葉ミトコンドリア内Al濃度の超微量分析
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者
発行年度 1997
要約 タンデム型加速器質量分析法(AMS法)は植物細胞オルガネラレベルのアルミニウム(Al)の超微量分析(原子数107個)が可能である。本法により,Al耐性に優れたルジグラスは耐性に劣る大麦に比べての葉ミトコンドリア内にAlが移行集積しやすいことを明らかにした。
背景・ねらい タンデム型加速器質量分析法(AMS法)は試料をイオン化,加速し,イオンのエネルギーと運動量から質量(比電荷)を求め,さらに媒体中でのイオンエネルギー損失を測定することで特定の元素の同位体比が分る方法で極微量元素の測定を行う装置である(図1)。半減期が104~108年程度の極微量の放射性同位体の安定同位体に対する同位体比を測定する装置であり,26Alのほか14C/13C測定による年代決定に使用されている。この手法は動物分野ではアルツハイマー研究などに応用され,注目を集めているが,植物のAl研究への応用はほとんどない。現在,細胞オルガネラレベルの研究領域を開拓する手法として注目されはじめた。植物研究領域へのいち早い開発と応用のため,Al耐性作物の細胞オルガネラレベルのAlの分布解明に資するため,そのひとつであるミトコンドリアを例に集積したAlの測定を試みる。
成果の内容・特徴
  1. オオムギは土壌のpHが5付近になると耐性系統のDaytonでも葉にAlによる障害が現れ,生育が著しく低下するAl感受性型であるが,ルジグラスは影響されない。Alが1000μMの水耕栽培でもルジグラスの地上部の生育はAl無添加の4%低下に留まる(データ省略)。
  2. 根から吸収したAlが速やかに葉のミトコンドリアまで取り込まれることを原子数107個レベルの測定が出来るAMS法の利用により初めて明らかにした。供試するミトコンドリアは蛋白レベルで0.6mgあれば測定できる(図2,表1)。
  3. ルジグラスは葉のミトコンドリア中に感受性作物のオオムギよりも高濃度のAlが集積する。オオムギは改良系統(Dayton)であっても葉のミトコンドリア中に集積するAl濃度は感受性系統(Kearney)と大差無く低い(表1)。
成果の活用面・留意点 AMS法は原子数を直接測定する原理のため,供試試料量が極微量で済む。放射性同位元素でもバックグランド以下で済み,実験時,法令や安全性は全く問題にならない。
図表1 220729-1.JPG
図表2 220729-2.JPG
図表3 220729-3.JPG
カテゴリ 肥料 大麦 水耕栽培

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