タイトル |
プロテアーゼ生産性Bacillus属細菌の16S |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
ユニバーサルプライマーで増幅した16S rDNAの制限酵素切断部位(Hae III, Cfo I, Alu I)の相違により、耕地土壌から分離したプロテアーゼ生産性のBacillus属細菌は種或いは近縁種のレベルで同定できる。
|
背景・ねらい |
現在まで土壌の物質循環と微生物生態との関係解明を目的として、土壌プロテアーゼの生産に重要な役割を果たす多数のBacillus属細菌を分離してきている。近年Bacillus属細菌の分類は16S rDNAの可変領域の塩基配列により見直されてきている。よって、この領域の相違を反映する制限酵素切断部位を検索し、これらの制限酵素切断部位の相違に基づいたプロテアーゼ生産性のBacillus属細菌の同定手法を開発する。
|
成果の内容・特徴 |
- データベースに登録されている16S rDNAの塩基配列から推定したBacillus属細菌(19種;31株)は制限酵素切断部位(HaeIII,CfoI,AluI)の相違により、16グループに分類できる(図1)。
- ユニバーサルプライマーを用いて増幅した対照菌株(9株)と、水田土壌から分離したプロテアーゼ生産性のBacillus属細菌(12株)の16S rDNA(22-1085bp)を、制限酵素で切断し、デンシトグラムで求めた断片長をもとに推定した切断部位は、データベースから推定した切断部位とほぼ一致した(表1)。そこでこの手法は同定手法として利用できる。
- この手法によって新たに畑土壌から分離したプロテアーゼ生産性のBacillus属細菌(11株)は制限酵素切断部位から、B.subtilisグループ(U80:(2)*)、B.cereusグループ(N4,N3,N7,N9,N68,U44,U72:(9),(9)**)、B.sphaericus(N63,N80,U77:(14)***)と同定され(表1)、結果は簡単な生理試験による結果と一致した。
以上の結果から16S rDNAの制限酵素切断パターンによる分類はBacillus属細菌の簡易な同定手法として有効である。
|
成果の活用面・留意点 |
- 土壌から分離したBacillus属細菌のみではなく、形態学的グループ1群及び3群に属する一般的なBacillus属細菌の分類/同定にも適用できる。
- 類縁種であるB.subtilisグループ、B.cereusグループ内の分類は本法ではできない。
- デンシトグラムで求めた切断長から推定した切断部位はデータベースから決定した切断部位と1、2箇所のAlu I部位の違いが見られる場合がある。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
カテゴリ |
水田
データベース
|