タイトル |
近赤外分光分析法によるナタネ子実のリノール酸・エルカ酸の組成比の非破壊迅速測定 |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
小さい子実の近赤外測定に適用できる一粒カップを開発した。これを用いると、近赤外分光分析法により、ナタネ原粒の複数粒子実および単粒子実のリノール酸・エルカ酸の組成比が、簡易・迅速かつ非破壊的に推定できる。
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背景・ねらい |
ナタネの育種あるいは搾油の現場においては、脂肪酸組成の速やかな分析が望まれている。さらに、アブラナ科の作物にとってはエルカ酸の有無に関心が持たれている。しかしながら、通常のガスクロマトグラフィーによる脂肪酸組成の分析は多くの手間と時間を要する。このため、近赤外分光分析法によるナタネ子実の脂肪酸組成の非破壊迅速測定法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 小さい種子の近赤外測定に適用ができる一粒カップを開発した(図1)。ナタネ子実の原粒(径約1mm)を用いるが、複数粒の場合には、カップのくぼみに満たしガラスカバーをして表面を揃えて、単粒の場合には、単粒をそのままカップに入れて近赤外分光分析機にて測定する。
- 近赤外2次微分スペクトルの1600nmの値を0、1724nm付近の極小値を-1となるように換算すると、スペクトルの特徴が明確となる。
- 複数粒、単粒のいずれでも、リノール酸が多い場合、1696~1724nmの領域の近赤外2次微分スペクトルの強度が下向きに強くなる。エルカ酸(あるいはオレイン酸)の有無は、1728nmの近赤外2次微分スペクトルの強度が下向きに強く(あるいは弱く)なることで識別できる(図2)。
- 1696nm~1724nmの近赤外2次微分スペクトルの和あるいは1728nmと1724nmの近赤外2次微分スペクトルとの差とリノール酸・エルカ酸の組成比との関係を図3、図4に示す。近赤外法で非破壊的にリノール酸・エルカ酸の組成比が推定できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 近赤外法で日常的に用いる重回帰分析ではなく、脂肪酸に帰属する吸収帯のスペクトル・パターンの特徴で解析するので、他の母集団(さらに他のアブラナ科の作物)や他機種の近赤外分光分析機で測定したデータにも適用可能である。
- 原粒の単粒子実の場合、エルカ酸が簡便に非破壊的に把握できるので、エルカ酸と関係の深い形質には、これを選抜指標に用いると育種効率が向上する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
あぶらな
育種
なたね
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