シラス水田における麦用施肥播種機を利用した水稲の代かき同時施肥播種法

タイトル シラス水田における麦用施肥播種機を利用した水稲の代かき同時施肥播種法
担当機関 鹿児島県農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 園田純也(現大口農業改良普及所)
加治屋仲章
神門達也
竹牟禮穣
発行年度 1998
要約 麦用施肥播種機は一部改良することで,水稲の代かき同時播種に使用でき,植代・施肥・播種を一工程で行えるため,作業時間を短縮できる。落水出芽法で播種深度が確保でき,生育及び収量・品質も慣行播種法と同程度である。また,稲麦体系で機械の有効利用ができる。鹿児島県農業試験場・作物部
背景・ねらい 九州南部シラス砂壌土地帯における湛水直播栽培の不安定要因は,特有の土壌及び気象条件に起因する。シラス水田は代かき後の土壌の硬化が早いため播種深度が浅くなりやすい。そこへ多雨・台風等が重なると,出芽苗が流出したり浮き苗・転び苗が発生し,出穂後倒伏しやすく,生産が不安定になりやすい。このため,シラス水田において播種深度が確保でき,湛水直播の省力・低コスト化及び安定栽培技術として、「麦用施肥播種機を利用した代かき同時播種法」を検討・開発した。
成果の内容・特徴
  1. 水田で麦用施肥播種機で代かき同時播種するために、装置の一部改良が必要である。
    1. 種子繰出ロール:目詰まり防止のため、目皿構造にする。
    2. 播種シュート:先端部が田面につかないように短く切断する。
    3. 駆動尾輪:播種駆動を安定的に得るために、尾輪の直径を40cmから50cmに大きくする。
    4. 鎮圧装置:麦用の作溝・覆土・鎮圧装置は取り外し、塩ビパイプ製の鎮圧ロールを装着する(鎮圧ロールの概要は表1)。
  2. 播種作業はトラクタにロータリ及び麦用施肥播種機をアタッチメントととして装着して行う。代かき同時施肥播種の機構は、ロータリで代かきし、後ろの施肥播種機から肥料及び種籾が落下し、播種直後表面にある肥料及び種籾が鎮圧ロールで土中に埋め込まれる(表1、図1)。
  3. 耕起後、植代・施肥・播種の三作業を一工程で同時に行うため、10a当りの植代・施肥・播種の三作業時間は、直播専用播種機による慣行播種法の1/4~1/5に短縮でき、同時作業により省力化できる(図2)。
  4. 出芽時は播種深度及び出芽苗立の確保の面から、落水出芽法がよい。落水日数は5~7日程度で、出芽揃期に入水し、以後は湛水管理する。
  5. 雑草防除は、入水後粒剤を散布する。雑草の後発生が多い場合は体系防除を行う。
  6. 播種深度及び収量・品質も直播専用播種機による慣行播種法と同程度で、倒伏等栽培上の支障は無く、直播専用播種機による慣行法並の栽培が可能である(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 前作の麦稈は搬出(又は焼却)する。播種前のほ場は、土に十分吸水させ表面が露出しない程度の水量で落ち着かせておく。
  2. は種量は、0.3kg/a(乾籾)を目安とする。
  3. 降雨条件下では、カルパー籾の吸湿による付着・目詰まりを防ぐため、播種機をビニールで覆う等の防水対策が必要である。
  4. 代かきの精度がやや粗いため、初期の減水深がやや大きくなる場合があるので、灌水のし易いほ場が望ましい。
  5. 稲麦体系で同一機種を使用するため、機械の有効利用ができ、機械費のコストが低減できる。
図表1 220752-1.gif
図表2 220752-2.gif
図表3 220752-3.gif
図表4 220752-4.gif
カテゴリ 肥料 病害虫 安定栽培技術 コスト 雑草 直播栽培 省力化 水田 施肥 低コスト 播種 防除 水管理

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