水稲乾田直播栽培における良食味品種の栽培特性

タイトル 水稲乾田直播栽培における良食味品種の栽培特性
担当機関 長崎県総合農林試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 良食味水稲の早生品種「どんとこい」、「愛知93号」、中生品種「ヒノヒカリ」及び晩生品種「かりの舞」を乾田直播栽培した場合、いずれの品種も移植栽培に比べ短稈で一穂籾数が少なく、収量は低くなるが、耐倒伏性、品質、食味は遜色ない。
背景・ねらい 乾田直播栽培は大幅なコスト低減を図ることができるが、適品種の選定方法の統一や直播用奨励品種採用に関する制度的な整理はなされておらず、近年育成された良食味品種の適用性についても解明されていない。近年の米流通は良食味として認知されることが要件となっており、たとえ直播適性に富む品種であっても即流通に耐え得る生産ができるとは限らない。そこで、本県の主な奨励品種を乾田直播栽培した場合の栽培特性と留意点を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 6月上旬播種の乾田直播栽培において、水稲良食味品種の早生種「どんとこい」、「愛知93号」、中生種「ヒノヒカリ」、及び晩生種「かりの舞」は発芽苗立ちは良好で、それぞれ移植栽培と比べ短稈で、1平方メートル当たりの穂数が多いものの一穂籾数が少なく、収量は低くなるが、品質、耐倒伏性は遜色ない。また、出穂から成熟までの登熟期間がやや短い傾向がある(表1)。
  2. 乾田直播栽培した各品種の食味官能は移植栽培した「ヒノヒカリ」と遜色ない(表2)。
  3. 早生種「どんとこい」は穂数は確保しやすいが、弱小穂率が大きく、登熟期の草姿が乱れ易い傾向がある(観察)。また、登熟期間積算気温は他品種と比較してやや大きい(表1)。
  4. 「愛知93号」及び「かりの舞」は草姿が良い(観察及び表1)。
  5. 「ヒノヒカリ」の緩効性肥料栽培は移植栽培に近い生育・収量を示す(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 中生種「ヒノヒカリ」は移植栽培と同様倒伏に注意する。
  2. 本試験は漏水の大きい中粗粒土壌条件下における速効性窒素肥料分施体系下での乾田直播適用であり、施肥水準に注意する。
  3. 県下の早生・中生・晩生の移植栽培地帯の普通期条件において適用でき、長崎県直播推進会議と連携して、当面の技術指針として利用する。
図表1 220765-1.gif
図表2 220765-2.gif
カテゴリ 肥料 乾田直播 水稲 施肥 低コスト 播種 品種 良食味

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