黒毛和種子牛の濃厚飼料給与基準

タイトル 黒毛和種子牛の濃厚飼料給与基準
担当機関 宮崎県畜産試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 黒木博
仁田脇一義
村田定信
大木場格
発行年度 1998
要約 黒毛和種子牛の濃厚飼料給与量は体重の1.5%では若干不足気味で、発育に乏しいが、2.5%では給与過剰で、皮下脂肪及び筋間脂肪が厚くなり、また下痢の多発にもつながる。DCP濃度としては13%程度が適当である。
背景・ねらい 肥育素牛の育成段階の管理がその後の肥育成績に大きく影響することはよく知られており,育成期に効率的な素牛の飼養管理が求められる。そこで肥育素牛の適正な栄養管理について検討するために,濃厚飼料の給与量及び養分濃度の違いがロース芯や脂肪の蓄積等に及ぼす影響を調査し,それにより効率的な肥育素牛の生産技術を確立する目的で育成試験を実施した。
成果の内容・特徴 試験区分は育成配合飼料の給与量を体重の約1.5%と2.5%に制限する1.5%区と2.5%区に区分し,これらの区を更に育成配合飼料のDCP濃度で10%のI区,13%のII区,16%のIII区に区分した。なお、育成配合のTDNは70%で同一とし、供試期間は12週齢から40週齢までとした。供試牛は各区3種雄牛を均等に去勢4頭、雌4頭を配置し、計48頭の場内産黒毛和種子牛を用いた。なお、哺乳は本県の早期離乳マニュアルに基づき人工哺育で管理した。
  1. 40週齢時体重は1.5%区で264.5kg,2.5%区で293.1kgとなり,2.5区が有意に大きくなった。また,体高・胸囲・胸幅及びその他の部位も2.5%で大きくなり,III区>II区>I区とDCP濃度が高くなるにつれて大きくなる傾向にあった。1.5%区の発育は、宮崎県のより良き宮崎牛づくり対策協議会で定める基準に達しなかった。(表1)
  2. 濃厚飼料摂取量は、DCP濃度区分別においては差はなかった。また,2.5%区については総給与量に対し約10%の残飼があった。粗飼料摂取量については1.5%区が多く摂取し、III区>II区>I区とDCP濃度が高くなるにつれて多く摂取する傾向にあった(図1)。
  3. 超音波測定値においてロース芯面積は両区に差はなかったが、皮下脂肪及び筋間脂肪厚は2.5%区で有意に厚く,また高蛋白のIII区において顕著であった。2.5%区において増体・発育が良かったが,赤肉としてではなく脂肪として蓄積されたものと推察される(表2)。
  4. 20週齢以降,2.5%区で下痢が多く発生した(図2)。
  5. 飼料要求率はI区、II区、III区の順でI区が良い傾向にあったが、先述のとおり増体、発育は、III区>II区>I区の順であった。しかし、III区においては皮下及び筋間脂肪がI、II区に比べ厚くなり、血中尿素窒素濃度が基準値を超えていた。これらの結果をふまえるとDCP濃度としてはII区の13%程度が適していると思われる。
成果の活用面・留意点
  1. 肥育素牛の生産技術指導の参考となる。
  2. 素牛への濃厚飼料多給は脂肪の蓄積を促し、その後の肥育へ悪影響と思われるので注意する。
  3. その後の肥育試験を実施中である。
図表1 220828-1.gif
図表2 220828-2.gif
図表3 220828-3.gif
図表4 220828-4.gif
カテゴリ 飼育技術 肉牛

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