初期胚由来のクローン牛の4つ子生産

タイトル 初期胚由来のクローン牛の4つ子生産
担当機関 宮崎県畜産試験場
研究期間 1998~1999
研究担当者 溝辺敬美
須崎哲也
赤塚裕人
発行年度 1998
要約 黒毛和種雌牛から回収した、受精後5日目の16-32細胞期胚をドナー細胞に用い核移植を行い、クローン胚を作出し、発情周期を同期化した受胚牛に新鮮胚で1胚移植し、4つ子1組を含む6頭の核移植産子を生産した。宮崎県畜産試験場・育種部・生命工学科
背景・ねらい 同一遺伝子を有するクローン牛を多数生産することは、牛の改良増殖において有効であると考えられる。しかし、クローン産子の相似性、正常性についてはまだ不明な点が多い。そこで、初期胚をドナー細胞に用い核移植を行い、クローン牛の生産を試みた。
成果の内容・特徴
  1. ドナー細胞は黒毛和種雌牛に過剰排卵処理を施し、受精後5日目に回収した16-32細胞期胚を用いた。
  2. レシピエント卵子は食肉センター由来の雌牛卵巣から卵子-卵丘細胞複合体を採取、10%FCS加TCM-199で22時間成熟培養後除核し、Ca・イオノフォア(10μM/ml)とピューロマイシン(100μg/ml)で活性化した。
  3. ドナー細胞を挿入したレシピエント卵子を、ZFM液を満たした1mm幅のプラチナチャンバーの間に置き、交流8.0V/5sec1回、直流65V/50μsec2回の条件で融合を行った。
  4. 体外培養は細胞融合後48時間はCR1aa-BSA(3mg/ml)で、その後10%FCS加CR1aaでマウス胎子繊維芽細胞と核移植後8日目まで共培養した(摂氏8.5度、5%COinair)。
  5. 核移植の成績は融合卵率89.8%、分割率85.8%、胚盤胞発生率31.3%であり、1胚当たりのクローン胚数は6.6個であった(表1)。
  6. 胚移植成績は受胎率23.3%で4つ子1組を含む核移植産子6頭が分娩した。また妊娠128日で1頭が流産した(表2)。
  7. 4つ子のクローン産子は黒毛和種牛の雌で、生時体重は(1)31.0kg(2)29.5kg(3)30.0kg(4)38.0kgで妊娠期間は(1)284日(2)286日(3)289日(4)289日であった(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. クローン産子の相似性、正常性の調査に活用できる。
  2. クローン産子を肥育することにより、増体、産肉能力を調べることができる。
  3. 産子の生時体重がまれに重くなることがある。
図表1 220839-1.gif
図表2 220839-2.gif
図表3 220839-3.gif
カテゴリ 育種

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