タイトル |
アテモヤの受粉法 |
担当機関 |
鹿児島県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
稲森博行
立田芳伸
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発行年度 |
1998 |
要約 |
アテモヤの受粉法としては、黄緑色に退色し花弁の弛んだ開花直前花の花弁を1枚除去し、当日採集した花粉を小筆で受粉するのがよい。また、花粉の貯蔵適温は摂氏2~5度であり、貯蔵花粉を利用するときは貯蔵1日以内のものを使用する。
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背景・ねらい |
アテモヤは特産果樹として奄美地域南部に導入されている。花は両性花であるが、雌雄異熟(雌蘂先熟)であるため着果安定には人工受粉が必要であり、また、開花時刻が夕刻で花粉の採集や受粉時間が制限されるため、貯蔵花粉の利用等、受粉法を確立する必要がある。一方、不整形果の発生と受粉法との関係も明らかにする必要がある。
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成果の内容・特徴 |
- アテモヤの受粉に適した花は結果率や果実の形質からみて、蕾が大きく膨らみ黄緑色に退色し、花弁が弛んだ開花直前のものである。大きいが退色の進んでいない開花前の花でも結果率は比較的高いが、開花直前のものに比べると整形果率が低い。また、花弁が開き花粉採集適期になった開花期の花は全く結果しない(表1)。
- 受粉適期の花は蕾の状態であるため、人為的に花弁を開いて受粉する必要があるが、花弁を1枚除去して受粉しても結果性や果実の形質に影響はなく、作業が容易で能率的である(表2)。花弁の2枚除去では花梗を折りやすく、経験的に1枚除去に比べて能率が悪い。
- 採集花粉が少なかったり、花粉の採集ができない翌朝に受粉する場合には、花粉を貯蔵しておく必要があるが、貯蔵適温は摂氏2~5度である(表3)。
- 結果性、果実重等の果実の形質は受粉当日採集した花粉が優れるが、貯蔵花粉を利用する場合には、2日貯蔵花粉では整形果率が著しく低くなるため、1日貯蔵花粉を使用する(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 南西諸島におけるアテモヤ栽培に適用する。
- 受粉適期の花の柱頭には粘液が多く分泌しているので、受粉時の目安にする。
- 花粉を貯蔵する場合には、花粉の発芽率がかなり低下するため乾燥剤は入れない。また、花粉は凍結すると解凍後、過湿になり褐変し、受粉には使用できない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
アテモヤ
乾燥
受粉
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