タイトル |
ホウズキに発生した炭疽病(新称) |
担当機関 |
佐賀県農業試験研究センター |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
稲田稔
御厨初子
山口純一郎
松崎正文
中村宏子
福田和彦
脇部秀彦
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発行年度 |
1998 |
要約 |
佐賀県のホウズキに発生した宿存がく及び茎葉に輪紋斑を生じる被害はColletotric-hum cocodes (Wallr.) S.Hughesによるものであり、国内外ともに未記録の新病害であることが明らかとなったため、ホウズキ炭疽病と命名する。佐賀県農業試験研究センター・病害虫・農薬研究室
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背景・ねらい |
ホウズキ栽培は佐賀県の花き類振興上重要な作目となっている。しかし、近年、宿存がく及び茎葉に褐色~黒褐色の輪紋斑を生じる病害が発生し問題となっている。そこで、その原因を解明し防除対策上の資料とする。
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成果の内容・特徴 |
- 病徴
宿存がく及び茎葉の表面に褐色~黒褐色のややくぼんだ円形~楕円形の輪紋斑を生じ、ゆ合すると不整形となる(図1)。また、宿存がくでは土壌表面に近いものほど発生が多い。 - 発生状況
露地栽培では6月中旬頃から発生し、その後、収穫期にかけて進展する。一方、これまでの調査では、施設及び雨よけ栽培での発生は認めていない(図2)。 - 病原菌の分離及び病原性
病斑部からはColletotrichum属菌が高率に分離され、分離菌をホウズキの宿存がく及び葉へ接種した結果、現地と同様の症状が再現され、同一菌が再分離される。その他、トマト、ジャガイモ、トウガラシ等のナス科及びアブラナ科、マメ科等の植物に病原性を示し、ウリ科植物には病原性を示さない(表1)。 - 病原菌の特徴
分離菌「HC-1」の分生胞子は無色、単細胞、先端が鋭く尖った紡錘形で、大きさは平均16.2×4.0μm(図3)、付着器は褐色、楕円または長棍棒形、全縁または鈍鋸歯状で、大きさは平均11.0×7.4μm、剛毛は茶褐色で長さは平均144.2μmであり(表2)、PDA平板培地上での生育範囲は摂氏10~35度、生育適温は摂氏27.5度前後である。 - 病原菌の同定及び病名
以上の結果から、本菌をColletotrichumcocodes(Wallr.)S.Hughesと同定し、ホウズキでは国内外ともに新発生の病害であるので、病名をホウズキ炭疽病(Anthracnose)と命名する。
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成果の活用面・留意点 |
- 病原菌及び発生時期が明らかになったことで、防除対策を構築するうえでの参考となる。
- 施設及び雨よけ栽培では本病の発生が少ないと考えられるが、灌水時に植物体に水がかからないよう注意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
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