タイトル |
Colletotrichum capsiciによるスターチス炭疽病の発生 |
担当機関 |
鹿児島県農業試験場大島支場 |
研究期間 |
1996~1998 |
研究担当者 |
田中昭
野島秀伸
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発行年度 |
1998 |
要約 |
鹿児島県徳之島におけるスターチス(品種:「サザンピンク」)苗の枯れ上がりの原因はColletotrichum capsiciによるもので、本菌をスターチス炭疽病の病原菌として追加する。鹿児島県農業試験場大島支場・病害虫研究室
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背景・ねらい |
1995年から徳之島のスターチス(品種:「サザンピンク」)において育苗中に苗が枯れ上がる症状が発生した。そこで本症状の原因を解明し、育苗期における薬剤による防除方法を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 病徴及び発生状況
育苗中の苗に褐変斑が多数認められ、下葉から順次枯れ上がる(写真1)。その後、株全体が枯死する。枯れ上がりはさし芽床においても認められる。 - 病原菌の分離及び病原性
病斑上には分生子層が観察され、それから鎌形を呈する炭疽病菌の分生子(写真2)が高率に分離される。分離株の菌叢片をスターチスの葉に無傷および有傷接種し、また胞子懸濁液を株全体に噴霧接種した結果、病原性が認められる。また、トウガラシ、トマトなどの果実にも病原性が認められる。 - 病原菌の特徴
分離菌株はPDA培地上で剛毛を有する分生子層を豊富に形成し、分生子は無色、単胞、鎌形、大きさ21.3~25×3.3~4.8μm(23×3.9μm)であり、発芽時には褐色、厚膜、棍棒状の付着器を形成する(表1)。PDA培地上で摂氏5度~43度の各温度下で4日間培養すると,菌叢は灰褐色から黒色で摂氏5度~40度で生育し、最適生育温度は摂氏28度である(図1)。 - 病原菌の同定及び病名
分生子の形態、性質及び接種試験の結果から、病原菌をColletotrichum capsici(Syd.)Butler & Bisbyと同定し、本菌をスターチス炭疽病の原因となる新しい病原菌として追加することを提案した。 - 薬剤による防除方法の検討
育苗時の防除効果を検討した結果、生存苗率はマンゼブ水和剤、有機銅水和剤、プロピネブ水和剤で無処理と比較して高いことを認めた(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 栄養繁殖のスターチス(品種:「サザンピンク」)で発生が多く認められる。
- スターチスの育苗期における本病の防除対策資料となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
害虫
スターチス
炭疽病
とうがらし
トマト
繁殖性改善
品種
防除
薬剤
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