タイトル |
ユリ類へのパーティクルガン法による遺伝子導入技術 |
担当機関 |
熊本県農業研究センター |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
田中正美
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発行年度 |
1998 |
要約 |
パーティクルガン法を用いてユリ類へ遺伝子を導入する際、無菌培養したリン片の切り口を上にして同心円状に列べて固定し、近距離・高圧で処理することで、子球発生部位である2~3層目の細胞への遺伝子導入が可能になり、形質転換効率を向上できる。また、発生したキメラリン片からも形質転換体を再分化できる。熊本県農業研究センター・農産園芸研究所・生物資源部
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背景・ねらい |
ユリ類は花き産業の主要品目の一つであり、交配や培養技術等を組み合わせて多彩な品種が育成されてきた。しかし、耐病性の向上など適当な遺伝資源が存在しない場合に目標形質を改良するには遺伝子導入技術が有効な手段となる。ここでは、パーティクルガン法によりリン片からの子球形成培養系に遺伝子を導入するための技術手法を検討し、ユリ類の形質転換技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 無菌培養したリン片を外植片とし、高い子球発生をする切断したリン片下部から数~十数細胞上位の2~3層目を遺伝子導入の標的部分とするため、0.8%寒天または0.2%ゲルライトを20ml程度分注・滅菌した9cmシャーレの中心部にリン片の切断面を上にして同心円状に挿して列べる(図1)。
- 無菌的に溶かした0.2%素ゲルライトを挿したリン片間に流して固定することで、リン片を飛散させることなく、真空度20Hg、ラプチャーデスク圧1350psi、試料間距離4cmと強度の処理が可能になる(図1、表1)。
- ヘリウムガス圧式のPDS-1000/Heでは、1.6μの金粒子3mgと5μのDNAの混合液を8回分のデスクに塗布して、1シャーレ当たり25~40個のリン片に処理すると、30~50個の分化子球が得られ、発生した分化子球へのGUS遺伝子の導入効率は0~7%である(表1)。
- 導入処理後ただちに、0.2mg/lNAA、2mg/lBAを含むMS培地上に移植することで7~10日で子球を分化でき、供試したオニユリ、カノコユリ及びカサブランカの3品種で導入が可能である(表1)。
- 子球でのX-GlucによるGUSの発色はキメラになることがあるが、キメラ状のリン片からも子球を再形成させることで形質転換個体が確保できる(図2、図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 有用遺伝子を導入したユリ類の育種に活用できる。
- リン片は子球形成能の高いものを使用する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
遺伝資源
品種
ゆり
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