タイトル |
マメハモグリバエの土着寄生蜂Neochrysocharisokazakiiの大量増殖法 |
担当機関 |
鹿児島県農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1999 |
要約 |
マメハモグリバエの土着寄生蜂の一種であるNeochrysocharis okazakiiの発育零点は雄摂氏11.5度、雌摂氏11.3度、有効積算温度は雄157.2日度、雌169.2日度である。この結果を基に、既に確立しているマメハモグリバエの大量増殖体系を利用してN.okazakiiの省力的な大量増殖体系を確立した。本体系下では16分/人/日の作業時間で2000頭/日の寄生蜂が生産可能であり、羽化した蜂の性比が大きく雄に偏ることはない。鹿児島県農業試験場・病虫部
|
背景・ねらい |
世界的な施設害虫で高度の薬剤抵抗性を有するマメハモグリバエは、殺虫剤による防除が困難であるため、欧米では本種の防除に大量増殖した天敵(寄生蜂)が用いられている。わが国でも土着寄生蜂の探索が各地で行われ、約30種の寄生蜂が見出されている。その中で有望種の一種であるN.okazakiiについて発育特性を明らかにするとともに既に確立している寄主マメハモグリバエの大量増殖体系を利用して本種の大量増殖技術を確立する。
|
成果の内容・特徴 |
- N.okazakiiの発育零点および有効積算温度はそれぞれ雄で摂氏11.5度、約157.2日度、雌で摂氏11.3度、約169.2日度である。そのため、摂氏25度恒温条件下で大量増殖を行うと増殖の1工程は12日以上を要する。
- 大量増殖体系(図1)下(摂氏25度)での作業時間/飼育箱/人/日は16分である(表1)。
- 大量増殖体系下での性比(雌比)は0.5以上で極端に雄に偏ることは無い(表2)。4.本体系下では1日1回の2シートずつのインゲンの交換で約1000頭の生産が可能であり、交換の回数を増やすことにより、さらに生産頭数の向上が見込まれる。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本増殖法は既に確立した寄主昆虫マメハモグリバエの大量増殖体系(九州農業研究成果情報 14 473~474)を利用して行う。
- 寄主植物の栽培に土を用いないため、低コスト生産が可能になる。
- 大量増殖した土着天敵を用いたマメハモグリバエの生物的防除が可能になる。
- わが国ではマメハモグリバエの幼虫寄生蜂の大量増殖に関する知見に乏しいため、累代飼育した場合の性比を含めた虫質の問題等の検討が必要である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
病害虫
害虫
生物的防除
抵抗性
低コスト
土着天敵
防除
薬剤
|