タイトル |
近赤外分光分析法によるソバ粉成分の簡易迅速測定 |
担当機関 |
資源作物研究室 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
近赤外分光分析法により、ソバ粉中の水分・脂肪・蛋白質含量が、簡易・迅速・非破壊的に測定できる。九州農業試験場・作物開発部・上席研究官、資源作物研究室
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背景・ねらい |
ソバは、日本人の嗜好にあった、機能性の高い、すぐれた食品原料であり、水田利用に適した作物として注目を集めている。育種や加工の現場においては、選抜・品質管理の効率化のため、ソバ粉中の成分含量の簡易迅速測定が望まれる。さまざまなソバの品種・系統(各種2圃場でのランダムブロックデザインによる繰り返し栽培(表1))に適応可能な、近赤外分光分析法によるソバ粉の水分・脂肪・蛋白質含量の簡易迅速測定法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ソバ・ダッタンソバをブラベンダー・テスト・ミルで製粉し、標準カップに充填して近赤外スペクトルを測定する。
- 平成8年産ソバを用いての近赤外分光分析について、ソバだけを試料として得た成分推定式(キャリブレーション式、検量線)を、ソバ・ダッタンソバを込みにした試料に適用すると、ソバだけに適用した場合よりも、予測(プレディクション)の推定誤差(SEP)が、若干大きくなる(表2)。ソバ・ダッタンソバを込みにした試料で得た成分推定式を、ソバのみ、およびソバ・ダッタンソバ込みの試料に適用しても、精度の低下はない(表2)。
- 平成8年産のソバ・ダッタンソバ込みで算出したキャリブレーション式を平成9年産のものの推定に用いた場合、ずれ(バイアス)やゆがみ(スキュー)の問題があるが、成分含量の相対的な大小関係は推定できる。さらに、バイアス補正すると、予測の推定誤差は、水分:0.15、脂質:0.10、蛋白質:0.44%となる。
- 平成9年だけのデータで解析すると、予測の推定誤差は、水分:0.23、脂質:0.10、蛋白質:0.30%となる。
- 平成8年と平成9年を統合して解析すると、予測の推定誤差は、水分:0.15、脂質:0.10、蛋白質:0.39%となる(表3、図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 近赤外分析器は、広く導入されており、この方法で得た成分値を指標に用いると、育種選抜、流通過程の品質評価、製造工程の品質管理の効率が向上する。
- 近赤外分光分析法は、一般成分の分析に非常に有効な方法であり、ソバ粉中の主要3成分が、数秒で高い精度で推定できる。
- 年次変動によるずれ(バイアス)やゆがみ(スキュー)の問題があるが、相対的な成分含量の概要は把握できる。
- より幅広い集団に適用可能な成分推定式が確立には、データの蓄積が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
加工
機能性
近赤外分析
水田
そば
品種
ラベンダー
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