タイトル |
豚凍結精液における炭酸ガスを通気しpHを修正した前処理液による活力向上 |
担当機関 |
熊本県農業研究センター畜産研究所 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
塚原敬典
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発行年度 |
2000 |
要約 |
炭酸ガスが精子の代謝を可逆的に抑制することを利用し、豚凍結精液作製時の前処理液へ炭酸ガスを通気しpHを修正したところ、融解後の精子の活力が向上した。熊本県農業研究センター畜産研究所・中小家畜部
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背景・ねらい |
豚人工授精用精液は、低温に保存する液状精液が主流であるが、半永久的な遺伝資源の保存と更なるコスト削減を図るためには凍結精液の技術の確立が待たれるところである。精子の運動性と生存性に影響する要因の中で、高分圧の炭酸ガスは、精子の代謝、運動性を可逆的に抑制する。そこで、凍結精液作製時の前処理液へ炭酸ガスを通気し、炭酸ガスによる代謝抑制を利用することにより、融解後の活力向上を検討した。さらに、同法により作製した凍結精液により授精試験を実施した。
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成果の内容・特徴 |
ランドレース種雄豚3頭(A、B、C)の精液を用いた。試験区1は、前処理液に炭酸ガスを約5分間通気し、pHを7.0に修正したもの(CO2+pH区)、試験区2は、同様に通気後pH処理は行わないもの(CO2区)、試験区3は対照区とし、それぞれ3反復した。授精試験には、試験区1および3で作製したB、Cの凍結精液を経産豚および未経産豚に人工授精した。
- 試験区1において、3頭とも3反復のいずれにおいても他の試験区より融解後の活力が優れていた(表1)。
試験区1と他の試験区との間に1%有意水準で有意差が認められた。- 授精試験においては胎子数にばらつきが見られ、受胎率、平均胎子数とも試験区と対照区の間に有意差は認められなかった(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
授精試験成績については、産歴や授精技術、頭帽の正常性等、様々な要因によって変動することから、供試頭数を増やし検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
遺伝資源
コスト
豚
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