熊本方式乳用牛スラリーの処理・利用システム

タイトル 熊本方式乳用牛スラリーの処理・利用システム
担当機関 熊本農研セ
研究期間 1999~2001
研究担当者
発行年度 2001
要約 前処理装置と通電透析装置からなる処理方式で乳用牛スラリーを処理すると、BOD・SS・窒素・りん酸・カリ等の環境負荷物質が高い割合で除去され、また、回収された濃縮液は成分調整液肥としてコマツナの栽培に有効である。
キーワード 前処理装置、通電透析装置、乳用牛スラリー、環境負荷物質、コマツナ、液肥栽培
背景・ねらい そこで本研究では、牛スラリーからの環境汚染物質(窒素・リン等)の回収と再資源化技術について、とくに乳用牛のスラリーを通電透析装置等で処理し、窒素・リン成分等を除去することによって環境に対する負荷の軽減をはかるとともに、その回収した成分を成分調整液肥として利用する技術を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 曝気装置と液中膜(穴径0.4μm)装置等を組合わせた前処理装置を用い、スラリーを前処理すると、アンモニアやアミン類等は処理過程で完全に脱臭され、また、BOD、SSは放流基準(BOD:日平均80ml/L,SS:同90ml/L)以下に、また、大腸菌も除去される(写真1、表1)。
  2. 大型通電透析装置により、前処理液(2,000L)をさらに通電透析処理すると、処理条件(電流、電圧)を高めることによって処理期間は短縮され、16日間処理(電流:6.5~6.7A、電圧:24~63V)で、Kは約100%、MgとCaは約80%、PO4は約50%、NOxは約90%が除去される(写真1、図1、図2)。
  3. 通電透析処理すると、処理液に脱色効果(茶褐色→赤黄色)が認められる(表2)。
  4. 通電透析処理で回収される濃縮液の成分を調整し、それをコマツナに液肥として利用すると、液肥区の収量は化学肥料区に比べ高く、コマツナ等に利用可能である。そして、施用量については、基肥の半量を液肥で代替するのが適当である(表3)。
  5. 搾乳牛40頭の酪農経営において、施設コストは19,370千円(484千円/頭、原尿槽は自己施設を利用)、年間のランニングコスト(電気代、液中膜減価償却費等)は1,323千円(33千円/頭)である。
成果の活用面・留意点
  1. 酪農経営におけるスラリー処理の技術指針としてのみならず、処理条件(電圧や電流・日数)を高めることで放流基準以下に各イオンを除去することも可能であり、放流を前提とする養豚経営に対しても参考技術となる。
  2. コマツナ等の葉菜類への液肥利用に当たっては、成分分析と成分調整を行い適正利用を心がける。
  3. 液中膜装置内の平膜や通電透析装置内の透析膜は、半年に1回洗浄を行う。
  4. 液中膜装置内に汚泥が堆積するため、月に1回引き抜きを行い処理する。
  5. 原尿槽や曝気槽では泡が発生しやすいので、ポンプによる循環等による消泡対策を講じる。
図表1 221700-1.jpg
図表2 221700-2.jpg
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カテゴリ 肥料 経営管理 コスト こまつな 乳牛

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