タイトル |
ホルモン剤投与による発情排卵誘起状況 |
担当機関 |
鹿児島畜試 |
研究期間 |
1997~2000 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
2001 |
要約 |
発情排卵誘起処置で排卵した牛は最終処置日から3、4、5日目に排卵し、排卵の同期化は難しいと思われる。暑熱期と分娩後日数は発情排卵誘起処置の排卵に影響を与えると考えられる。
|
キーワード |
乳牛、繁殖、排卵、発情
|
背景・ねらい |
分娩後乳牛の卵巣は、飼料給与等が適切であれば、卵胞発育、排卵、黄体形成、黄体退行、卵胞発育と動いてはいるが、黄体遺残、卵胞のう種等の影響で、不規則な排卵周期が多く、また、発情徴候を伴う排卵は少ないので、授精適期を把握することが難しい。そこで、今回は、ホルモン剤投与による発情排卵誘起処置時の発情徴候、排卵状況等について調査し、また、一発情期2回授精、排卵促進剤の利用による受胎率向上も試みた。
|
成果の内容・特徴 |
- ホルモン剤投与による発情排卵誘起の方法1・2は、表1のとおりで、方法1は開始日(0日)にプロゲステロン膣内挿入剤(CIDR)の挿入と安息香酸エストラジオール(E2)を投与、7日目に安息香酸エストラジオールを投与、10日目にプロスタグランジン(PG)を投与、11日目にCIDR除去、13、14日に発情を確認してから、人工授精を行う方法である。方法2は、方法1の簡略法で開始日(0日)にCIDRの挿入とE2を投与、7日目にPG投与とCIDR除去、9、10、11日目に発情を確認してから、人工授精を行う方法である。
- 方法1で14頭、方法2で8頭の発情排卵誘起処置を行い、発情が観察できた牛は13頭で、その内1頭が排卵しなかった。発情徴候を確認できなかった牛は9頭で、その内6頭が排卵した。しかし、処置に反応せず排卵しない牛が4頭いた(表2)。
- 発情排卵誘起処置で、排卵確認した牛での排卵日は、最終処置日から方法1では0、3、4日目に起こり、方法2では3、4、5日目に起こる(図1)。
- 発情排卵誘起処置時の分娩後日数別排卵状況では、分娩後100日以内は3頭排卵しない牛がいた。また、分娩後151~200日は1頭排卵しない牛がいた(図2)。
- 発情排卵誘起処置時の季節別排卵状況では、暑熱の時期と思われる7月で3頭排卵しない牛がおり、この3頭は分娩後日数でも100日以内の牛であった(図3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- ホルモン剤の利用には、獣医師の指示が必要である。
- 今回のホルモン剤投与による発情排卵誘起処置では、排卵日を集中できないので、排卵促進剤や1発情期2回授精の併用も受胎率向上に有効と思われる。
- ホルモン剤投与による発情排卵誘起処置に暑熱ストレスと分娩後の低栄養ストレスは影響すると考えられる。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
図表5 |
|
カテゴリ |
受胎率向上
乳牛
繁殖性改善
|