タイトル | マージ土壌のpHと交換性カルシウム含量が乾燥時の硬化強度に及ぼす影響 | |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター | |
研究期間 | 1998~2001 | |
研究担当者 |
久保寺秀夫 |
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発行年度 | 2001 | |
要約 | 沖縄本島中央部のマージ土壌は、pHが高く交換性カルシウム含量が大きいものほど、乾燥時に強く硬化する。 | |
キーワード | マージ土壌、乾燥、硬化強度、pH | |
背景・ねらい | 沖縄県の主要な農耕地土壌であるマージ土壌は、保水性が悪く、飽水時の粘着性や可塑性ならびに乾燥時の硬化性が大きいなど、物理性の面で問題を有する。乾燥時の硬化性は試料間の差が大きいが、その差をもたらす要因については明らかにされていない。そこでマージ土壌の乾燥に伴う硬化性に影響する要因を解明して、マージ土壌の硬化性改良や土壌管理に必要な知見を得る。 | |
成果の内容・特徴 | 1. 沖縄本島中央部のマージ土壌(畑表層土)43点の、乾燥時の硬化強度(一軸圧縮強度)と諸理化学性を測定した。試料は砂岩、礫層、石灰岩など多様な母材が複雑に混在する地域から採取し、強酸性~アルカリ性の広い範囲のpHを示す。硬化強度は0.6~6.4MPaと、いずれも耕耘砕土上で問題となる値(0.5MPa以上)ではあるが広い範囲にある(表1)。 2. 硬化強度と密接に関係する理化学性は粒径組成(および粒径組成に強く影響されるCEC)、pHならびに交換性カルシウム含量である(表1)。粒径組成では細粒質の土壌が、当然ながら強く硬化する。粒径組成が同程度の土壌では、pHが高い土壌(≒交換性カルシウムが多い土壌)ほど硬化が著しい(図1)。 | 3. 酸性とアルカリ性のマージ土壌の間で、主要粘土鉱物(イライト、アルミニウムバーミキュライトおよび0.7nmカオリン鉱物)や細粘土含量の違いはない(図表略)。 4. 酸性のマージ土壌に水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを上げると、硬化強度がアルカリ性マージ土壌と同等以上まで増大する(図2)。また塩化カルシウム溶液を添加して土壌中のカルシウムイオン量を増大させても、硬化強度は増大する(図3)。なおマグネシウム、カリウム、ナトリウムイオンを添加しても硬化強度は増大するが、これらはカルシウムに比べて土壌中に少ないので、現場での土壌硬化に及ぼす影響は小さいと考えられる。 5. 以上の結果から、マージ土壌は高pH・高カルシウムイオンの状態に置かれた場合、乾燥時の硬化強度がより大きくなる性質を持つ。 |
成果の活用面・留意点 | 1. マージ土壌で酸性矯正や施肥が過剰に行われた場合、土壌の物理性悪化が生じる危険があることが示された。マージ土壌地帯における土壌管理の上での留意事項となる。 | |
図表1 | ||
図表2 | ||
カテゴリ | 乾燥 施肥 |