異なる植物根におけるPseudomonas fluorescens HP72株の挙動

タイトル 異なる植物根におけるPseudomonas fluorescens HP72株の挙動
担当機関 (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2000~2001
研究担当者 橋本知義
長岡一成(重点研究支援協力員)
南谷佳栄(宮崎県総合農業試験場)
発行年度 2001
要約 Pseudomonas fluorescens HP72株の植物根における定着性は植物種によって異なり、特にベントグラス、コムギ、トウモロコシにおいて良好に定着する。また、2週間の試験により、その後の定着数の推移を概ね推測することが可能である。
キーワード 蛍光性シュードモナス、植物種、植物根、定着性
背景・ねらい 有用微生物を作物栽培に広く利用するためには、様々な植物において充分な密度で定着することが必要である。しかしながら、異なる植物根における接種微生物の挙動を比較した研究例は国内に見られない。さらに、本来有していない形質の付与による代謝活性等への負荷や脱落が懸念される外来遺伝子等のマーカーを利用することなく、土着微生物と識別して検出する手法が確立されている菌株は少ない。そこで、菌株の本来有している表現形質や遺伝的特徴を用いた特異的な検出手法が確立されているPseudomonas fluorescens HP72株をモデルとして用い、様々な植物根における定着性を比較する。
成果の内容・特徴 1.
九州沖縄農業研究センター内よりサンプリングされたクロボク土壌に、HP72株懸濁液を約105CFU/gになるよう接種して表1に示す8種類の植物を栽培すると、2週間後、HP72株はコムギおよびトウモロコシの根においては他の植物と比較して良好に定着する(表1)。その定着数は、HP72株の分離源であるベントグラスに匹敵する(表1)。その後5週間に渡って、トウモロコシにおいては比較的高い菌数を維持するのに対し、トマトではトウモロコシよりも低く、ナスにおいては速やかに減少する(図1)。以上3種の植物について、栽培2週間目という比較的短期間の結果により、その後の菌数の推移を概ね推測できる。
2.
無菌状態で発芽させたコムギ及びトマトの種子をHP72株の菌液に浸した後、緩衝液中で撹拌洗浄を繰り返すことにより分散されてくるものを非付着菌数、洗浄後に発芽種子を緩衝液中で摩砕することにより分散されてくるものを付着菌数とすると、全HP72株(付着・非付着HP72株数の合計)に占める付着HP72株の割合は、コムギ(15.6%)の方がトマト(6.0%)に比べて高い(表2)。
3.
コムギとトマトについてHP72株の定着性と付着性との関係が認められ、発芽直後の付着程度がその後の植物根における定着性に影響を与えると考えられる。
成果の活用面・留意点 1.
本研究で用いたPseudomonas fluorescens HP72株(工業技術院寄託番号FERM P-14781)は、(株)日清製粉つくば研究所より分与を受けた菌株である。
2.
供試した土壌・菌株ならびに植物種等について限定された成果である。
図表1 221970-1.gif
図表2 221970-2.gif
図表3 221970-3.gif
カテゴリ とうもろこし トマト なす

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