タイトル | イグサ田の蒸発散量と作物係数 |
---|---|
担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2000~2003 |
研究担当者 |
丸山篤志 黒瀬義孝 大場和彦 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 八代平野のイグサ田における蒸発散量は、移植後の1月で0~2mm/day、収穫前の7月で最大8~9mm/dayである。イグサの作物係数は生育期全般で0.58~0.88程度である。 |
キーワード | 蒸発散、イグサ、作物係数 |
背景・ねらい | 農耕地の灌漑計画を策定する際には対象地域の消費水量を算定する必要がある。このとき、FAO灌漑排水技術書にもとづく一般的な方法として、気候条件から決まる基準蒸発散量に作物ごとに決められた係数(作物係数)を乗じ、対象地域の実蒸発散量を算定する方法が知られている。水田では多量の用水を必要とするため、特にこの算定が重要であるが、イネ以外の水田作物についての作物係数は不明である。そこで,イグサ田での熱収支法による長期連続観測により、イグサ田の蒸発散量と作物係数を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 八代平野のイグサ田における蒸発散量は、移植後の1月は0~2mm/day、その後徐々に増加して4月に最大で4~5mm/day、収穫前の7月に最大で8~9mm/day程度である。(図1) 2. イグサの作物係数(ET/ETpenまたはET/ETpot)は、改良ペンマン法による計算値(ETpen)を基準蒸発散量に用いた場合、ポテンシャル蒸発量(ETpot)を用いた場合ともに0.3~1.3の範囲で季節変化するが、湛水頻度の増加やイグサの生育にともない、徐々に大きくなる傾向がある。(図2) 3. 生育ステージごとの作物係数は、改良ペンマン法による計算値を基準蒸発散量に用いる場合は移植期~間断灌水開始が0.67、間断灌水開始~先刈期が0.70、先刈期~収穫期が0.88である。基準蒸発散量にポテンシャル蒸発量を用いる場合は同じく0.58、0.66、0.86である。(表1) |
成果の活用面・留意点 | 1. イグサ田の用水計画を策定する際の基礎資料となる。また、気象変動や水需要構造の変化にともなう地域の水利用計画の見直しを行う上での参考値となる。 2. 旬単位あるいは月単位以上の時間スケールでの算定に適しているが、日単位程度の算定には適さない。 3. ここでの作物係数は2カ年の観測結果から求めた値であり、落水管理の行われる冬季の作物係数は降水量の違いによる年次間差が大きいため、注意が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | いぐさ 灌漑・排水技術 水田 水管理 |