タイトル | 成分調整成型堆肥の生産システム |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
嶋谷智佳子 薬師堂謙一田中章浩 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 家畜ふん堆肥を主体に、油粕などの有機質資材と混合して肥料成分を調整し、ローラーディスクダイ方式で成型する成分調整・成型堆肥の生産システムは、10t/日の生産規模で247百万円の設備費となり、生産コストは12(補助率2/3)~16(補助なし)千円/tである。100km以上輸送する場合は通常の堆肥よりもコスト的に有利になる。 |
背景・ねらい | 環境保全型農業を推進する上で、畜産地帯において過剰な家畜ふん尿を耕種農家の利用しやすい堆肥に加工し流通化を図ることは緊急の課題であり、利用性や散布性を改善した耕種農家がより使いやすい堆肥を生産し利用を促進する必要がある。そこで、各作物の要求する肥料成分や肥効パターンに調整し成型した成分調整・成型堆肥の実規模の生産・加工の実証試験を行い、適正運転条件とシステムの設計仕様を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 成分調整・成型堆肥の加工工程を図1に示す。牛ふんオガクズ堆肥は約3ヶ月間強制通気発酵させたものを、豚ぷん堆肥と鶏ふん堆肥は出来上がったものを購入し、ハウス予乾以降の加工工程で処理する。 2. 成分調整・成型堆肥は、耕種農家の手持ちの石灰散布機等で機械散布できるように、ペレット状に成型する。乾燥と圧縮操作を行うため、牛ふんオガクズ堆肥ではバラの状態に比べて重量と容積は約半分まで濃縮される。 3. 成型処理はローラーディスクダイ式成型機で行う。成型処理の適正水分範囲は22.5~27.5%で、家畜ふん堆肥の場合30kWの成型機で400~600kg/hの成型性能である。油粕を家畜ふん堆肥に対し同重量まで混合可能で、油粕を1/3以上混合すると成型性能が約30~120%向上する。(図2) 4. 成型物の生産量が10t/日規模の生産設備の設計仕様を表1に示す。総設備費は24,686万円であり、同規模の従来型の堆肥舎より2,540万円増となる。 5. 成分調整・成型堆肥の生産コストは製品1t当たりで12,400(補助率2/3)~15,900円(補助無し)である。成型堆肥に換算した従来型堆肥の生産コストが7,190~9,170円であるので、予乾以降の処理に要する加工費は5,200~6,700円/t(製品)である。 6. 成型堆肥は従来型の堆肥と比べて、20kg入りの小袋では50円安、500kg入りフレコンでは同じ価格で出荷できる。従来堆肥のバラ出荷と比較すると、輸送距離が100km以上になった場合は輸送コストが半額の成型堆肥の方がコスト的に優位となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 平成16年度に成分調整成型堆肥の生産設備を導入されるので設計の基礎数値として活用する。 2. 家畜ふん堆肥に生の油粕を混合して一般に販売することは肥料取締法の関係でできない。注文生産で加工費を徴収するか、一般に販売するには発酵油かすを混合資材として使用する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 土づくり 肥料 加工 乾燥 コスト 出荷調整 鶏 ばら 豚 輸送 |