熱帯・亜熱帯における飼料栄養価改善による乳牛排出メタンの低減効果

タイトル 熱帯・亜熱帯における飼料栄養価改善による乳牛排出メタンの低減効果
担当機関 (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2000~2001
研究担当者 塩谷繁
岩間裕子
神谷充
田中正仁
発行年度 2002
要約 熱帯・亜熱帯で低質粗飼料を給与されている牛の乾物摂取量または牛乳生産量あたりのメタン発生量を低減するには、TDN含量の高い草種の選定、イモ類および穀類の給与、低質粗飼料に対する尿素または乳酸菌添加が有効である。
キーワード 飼育管理、牛、メタン、熱帯・亜熱帯、飼料、TDN
背景・ねらい 反芻家畜の消化管から放出されるメタンは、低質な粗飼料の給与および暑熱環境下で増加する傾向にある。したがって、このような条件にある東南アジア等の熱帯・亜熱帯地域では、先進国に比べメタン放出割合が大きいと考えられるが、飼料品質の向上と栄養バランスの改善によりメタン放出量を大幅に抑制できる可能性も大きい。そこで、メタン等の温室効果ガスの世界的排出削減アクションプログラムの推進に資するため、熱帯・亜熱帯における乳牛からのメタンガス放出量を抑制するための栄養改善技術を開発する。
成果の内容・特徴 1.
バヒアグラス乾草、イネおよびスーダングラスサイレージを乳用種育成雌牛4頭ずつに給与して測定した乾物摂取量当たりのメタンの発生量は、TDN(可消化養分総量)含量が50~60%の範囲においてTDN含量が高いほど減少する(図1)。
2.
日乳量15kg以下の泌乳牛4頭ずつにバヒアグラス乾草を給与した場合、1頭あたりのメタン発生量は、乾草のみの場合が260L/日であるが、5.5kg/日・頭のイモを増給することにより146L/日に減少する。さらに、FCM(4%脂肪補正乳)生産量あたりのメタン発生量は、乾草のみの場合の約半分まで低減する(図2)。
3.
泌乳牛4頭ずつに稲わら単独または稲わらに穀類(玄米)を給与した場合、FCM当たりのメタン発生量(Y)と穀類の給与量(X)の間には、Y=-2.546X+46.442の関係がみられる。穀類の増給1kgにつき牛乳1kg当たりのメタン発生量は、約2.5L低減できる(図3)。また、FCM生産量(Y)と穀類の給与量(X)の間には、Y=1.962X+3.492の関係がみられることから、穀類の単価が乳価の1.9倍までであれば、穀類の使用に伴う支出増加よりも乳量の増加による収益増加が上回ると試算される。
4.
乾乳牛4頭ずつに稲わら単独または尿素処理または乳酸菌添加した稲わらを給与した場合、これらの処理により粗飼料の栄養価が改善され、それに伴いTDN摂取量当たりのメタン発生量が稲わら単独の72~75%に減少する(図4)。
成果の活用面・留意点 1.
東南アジア等の地域における牛からのメタン排出量削減に活用できるとともに、メタンインベントリーにおける排出量の推定および削減目標の精度向上に寄与する。
2.
本成果は乳量15kg以下の乳牛を対象にしたものであり、それ以上の乳量の牛に対してそのまま当てはめることはできない。
図表1 222016-1.gif
図表2 222016-2.gif
図表3 222016-3.gif
図表4 222016-4.gif
カテゴリ 亜熱帯 乳牛

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