Fusarium oxysporum用の3系統9種の選択培地

タイトル Fusarium oxysporum用の3系統9種の選択培地
担当機関 (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2000~2002
研究担当者 西村範夫
発行年度 2002
要約 Fusarium oxysporum用のFo-G系培地、同菌野生型菌株用のFo-W系培地と硝酸塩代謝能欠損菌(nit)株用のFo-N系培地各々3種を開発した。これらの培地は、通常の土壌、土壌消毒後の土壌、野生型菌株と硝酸塩代謝能欠損菌株が混在する土壌から、野生型菌株またはnit菌株を分離できる。
キーワード 選択培地、Fusarium oxysporum、硝酸塩代謝能欠損菌株
背景・ねらい Fusarium菌用の選択培地である駒田培地の成分PCNB水和剤が生産中止になり、また、土壌消毒後に非病原性F. oxysporumを接種するとサラダナ根腐病の発病が抑制された。F. oxysporumの生態研究と防除技術の開発ため、駒田培地に代わる選択培地並びに土壌消毒後の土壌、野生型菌株と硝酸塩代謝能欠損(nit)菌株が混在する土壌からそれぞれを分離できる選択培地を開発する。
成果の内容・特徴 1.
Fo-G系培地は駒田培地の代替培地として使用できる。土壌消毒後の土壌または野生型菌株とnit菌株が混在する土壌から、Fo-W系培地は野生型菌株を、Fo-N系培地はnit菌株を分離できる。各培地の組成は表1に示した。
2.
F. oxysporumコロニーの生育は土壌養分と雑菌の影響を受けるため、9cmペトリ皿に15mlの選択培地を分注した時の試料として、Fo-G1、Fo-W1、Fo-N1には100倍以上に希釈した土壌懸濁液0.5ml、Fo-G2、Fo-W2、Fo-N2には10倍または5倍希釈液0.5ml、Fo-G3、Fo-W3、Fo-N3には2.5倍希釈液1~4mlが適当である。
3.
レタス根腐病菌、サトイモ萎凋病菌、イチゴ萎黄病菌、キュウリつる割病菌、セルリー萎黄病菌またはトマト萎凋病菌の病原菌胞子を添加した殺菌土壌懸濁液試料の場合、各選択培地の胞子回収率はクロラムフェニコール加用PDA培地の75~135%であり、分離能力は高い(表略)。
成果の活用面・留意点 1.
分注後、3~7日間無風暗所におき、培地表面を乾燥させてから使用するとよい。
2.
土壌懸濁液試料の水分が培地に吸収されない場合はクリーンベンチ内で乾燥させる。
3.
Fo-G系培地には野生型菌株とnit菌株の両方が生育し、色素産生菌のコロニー裏面は赤紫色を呈する。
4.
Fo-W系培地の雑菌抑制力はFo-G系培地より強い。しかし、Fo-W系培地上では、F. oxysporumの多くは特定の色素を産生しないため、識別がやや難しい。
5.
F. oxysporumと土壌糸状菌が燻蒸消毒、蒸気消毒または熱水消毒等により減少している場合に、低希釈土壌懸濁液からの分離が可能になる。
6.
上記の6分化型の内、トマト萎凋病菌のコロニーは気中菌糸が少ないが、ホウ酸量を0.1g/Lに下げることによりやや改善された。コロニーの生育が不良の場合は、培地の種類を代えるか、抗菌性物質量の変更を試みる必要がある。
図表1 222028-1.gif
図表2 222028-2.gif
図表3 222028-3.gif
カテゴリ 病害虫 萎黄病 いちご 乾燥 きゅうり くり さといも セルリー 土壌消毒 トマト 根腐病 防除

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