タイトル | デジタルオルソ画像を用いた棚田の分類法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2002~2006 |
研究担当者 | |
発行年度 | 2002 |
要約 | デジタルオルソ画像等を用いたGIS解析によって得られる棚田の形態情報を利用することにより、地形の成立要因や集水域の特性に基づく棚田の分類が可能となる。 |
キーワード | 棚田、デジタルオルソ画像、GIS |
背景・ねらい | 九州地域は、勾配1/20以上の急傾斜地水田が水田面積全体の約2割を占め、全国的に見ても、棚田と呼ばれる傾斜地水田地帯を多数抱える地域である。防災や景観保全に代表される国土保全の立場から、将来にわたり棚田地帯を適切に管理していくためには、ゾーニングを目的とした棚田の分類作業が必要となる。 GIS(地理情報システム)解析で一般的に用いられるデジタルオルソ画像は、空中写真の撮影時に生じる歪みを取り去り、地図と完全に一致するように補正処理された写真であり、標高の数値化によって得られる地形(数値標高モデル:DEM)や地図だけでは捉えることのできない豊富な情報を有する。そこで、デジタルオルソ画像を活用したGIS解析に基づく棚田の分類法を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 対象とする棚田の分類は、GISのデジタルオルソ画像上で、表1に示す「分類の目安」に基づいて行う。尚、今回使用した画像の解像度は、1画素0.25mである。 2. ここで、表1の「分類の目安」は、自然地理学、河川工学、砂防工学の学問上の判断に基づく形態的特徴を横断的に整理したものである。 3. また、表1の「地形変化の主要因」は、学問上の区分から一般的に類推できる事項であるが、デジタルオルソ画像から、崩壊箇所、流路痕跡、地すべり痕跡、断層などが直接読みとれる場合には、これらを根拠として「地形変化の主要因」を推定する。 4. 以上により、棚田の暫定的な類型を仮定する。 5. 次に、解析の対象となる棚田地帯を含む集水域のDEMをGIS上で処理して、各座標における4種の地形要素(標高、傾斜角、河川次数、集水面積)を算出する。 6. 5で算出した各地形要素の値のうち、一般的に、類型番号の増加に応じて、標高、傾斜角は小さくなり、河川次数、集水面積は大きくなる傾向がある。そこで、対象としている棚田の類型間に各地形要素上の矛盾が生じていないか、GIS上で相互の関係をクロスチェックし、最終的な類型を確定する。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 分類の対象とする棚田は、圃区または水田団地(0.1~1.0ha程度)を一つの単位とするのが適当である。 2. 棚田の災害危険度や景観評価等に適用する場合には、本手法によって判定した棚田類型ごとに、災害発生量(金額、件数)やアンケート調査結果等を比較する。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 傾斜地 水田 |